歳時記 夏 七月

時候

七月 ( しちがつ )  晩夏

梅雨が明けると極暑となる。海・山が一番賑わう時分である。

水無月 ( みなづき )  晩夏

陰暦六月の異称。

半夏生 ( はんげしょう )  晩夏

七月二日頃。七十二候の一つ。農家では田の神を祭ったり、この日の天候で 豊凶 ( ほうきょう ) を占う。雨が降ると大雨になるなど迷信がある。

この頃花を咲かせるためこの名が付けられた。葉の半分が白い( 半化粧 ( はんけしょう ) )、茶花、庭園の観賞用。

梅雨明 ( つゆあけ )  晩夏

梅雨期は梅雨入からおよそ三十日で終る。日本列島は南北に長く、南から明ける。七月上旬頃に当る。

( すず ) し 三夏

( すず ) しさ  朝涼 ( あさすず )   夕涼 ( ゆうすず )   晩涼 ( ばんりょう )   夜涼 ( やりょう )   涼風 ( りょうふう )

涼しさの感覚は朝・夕・水面・風などで感じるものと影涼しなどの詩的なもので感じることが出来る。

露涼 ( つゆすず ) し 三夏

「露涼し」は「夏の露」のことであるが、「露涼し」の方が感じがよい。料理の感性がとどく。

( なつ ) ( ゆう )  三夏

夏夕 ( なつゆうべ )   ( なつ ) ( よい )

日中の暑さ・夕方の涼に一息つくさま。

( なつ ) ( よる )  三夏

「夏の夜」のこと。

盛夏 ( せいか )  晩夏

夏旺 ( なつさか ) ん  真夏 ( まなつ )

暑さの盛り、梅雨があけるといよいよ盛夏となる。

極暑 ( ごくしょ )  晩夏

酷暑 ( こくしょ )

最も暑いころ。だいたい土用中である。

土用 ( どよう )  晩夏

土用入 ( どよういり )   土用太郎 ( どようたろう )   土用二郎 ( どようじろう )   土用三郎 ( どようさぶろう )   土用明 ( どようあけ )   暑熱 ( しょねつ )

今日「土用」と言えば「盛夏」に限られ、土用入(七月二十一日頃)を「土用太郎」・第二日を「土用二郎」、第三日を「土用三郎」という。農家はこの月を最も警戒する。土用土気最も ( さか ) ん。 暑熱 ( しょねつ ) (うだる暑さ)、農作業休む。

本来土用は四度あり、陰陽五行説では木(春)、火(夏)、金(秋)、水(冬)、土(土用)で、十八・九日間ずつ各季の終りに置いた。

春は清明後十三日から立夏まで。

夏は小暑後十三日から立秋まで。

秋は寒露後十三日から立冬まで。

冬は小寒後十三日から立春まで。

土用の縁起

土用とうなぎ 平賀源内 ( ひらがげんない ) (医者)・江戸中期、「今日、土用の日、丑の日」は有名。

「う」のつくものを食べよ。うなぎ、うどん、うめ干し、うになど縁起をかついだ。

※年により「丑の日」が二度ある。

秋近 ( あきちか ) し 晩夏

秋隣 ( あきとなり )   秋隣 ( あきとな )

夏も終りに近く、秋も間近。

( よる ) ( あき )  晩夏

夏も終りの頃になれば、夜は秋のごときに感じる。

晩夏 ( ばんか )  晩夏

夏の終りであり、夏 ( ふか ) しである。

天文

( くも ) ( みね )  三夏

入道雲のこと。

( かみなり )  三夏

( らい )   遠雷 ( えんらい )   雷神 ( らいじん )   雷声 ( らいせい )   雷鳴 ( らいめい )   落雷 ( らくらい )

夏に最も多い。雲間の電気が放電して起る。

「春の雲」「冬の雲」なども季語。

夕立 ( ゆうだち )  三夏

ゆだち  白雨 ( はくう )   夕立雲 ( ゆうだちくも )   夕立風 ( ゆうだちかぜ )   夕立晴 ( ゆうだちばれ )

夏の「 ( にわ ) か雨」のこと。夕方が多いところから夕立の名がある。

( にじ )  三夏

朝虹 ( あさにじ )   夕虹 ( ゆうにじ )   虹立 ( にじた ) つ  二重虹 ( ふたえにじ )   円虹 ( まるにじ )

虹は夕立の後に現れるのが多い。朝は西に、夕は東の空に、朝虹が立てば雨、夕虹が立てば晴ともいわれる。

色は外側から赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の順。

雲海 ( うんかい )  晩夏

高山から、飛行機の窓から見下すと一面に白雲が敷き重なるさま。「雲の海」なる 荘重 ( そうちょう ) な景観である。

( なつ ) ( つき )  三夏

月の一字は秋をさし、他の季の月はそれぞれ春・夏・冬を冠する約束ごと。「夏の月」は秋ほど澄んでいないが美観に値する。

日盛 ( ひざかり )  晩夏

夏の日最も暑い盛り。午後二~三時を指す。

炎天 ( えんてん )  晩夏

日盛りの刻の空のこと。

日蔭 ( ひかげ )  晩夏

夏の日午後、片側に「日蔭」をつくること。木の蔭・家の蔭・堀の蔭など。

夕焼 ( ゆうやけ )  晩夏

夕空の真赤に火の如く焼け広がること。

夕凪 ( ゆうなぎ )  晩夏

朝凪 ( あさなぎ )

風は、昼は海から陸に、夜は反対に陸から海へ吹く。朝、夕は風が全く凪ぐ(止る)のさま。たえがたい暑さ。

( ひでり )  三夏

久しく雨が降らずに照り続くこと。

旱膾 ( ひでりなます )  室町末の『庖丁聞書』削り大根で作る。『料理物語』一六四三年に魚の ( なます ) 芋茎 ( ずいき ) や大根笹がきを加えるとある。

喜雨 ( きう )  三夏

雨喜 ( あめよろこ ) ( ひでり ) つづきの折に降る雨のことをいう。

( なつ ) ( あめ )  三夏

夏雨 ( なつあめ )

雨は四季を問わない。その時々の風情がある。

夏雨もしかりである。

( なつ ) ( あさ )  三夏

夏夜明 ( なつよあけ )   夏暁 ( なつあかつき )

夏の夜の明け方は早い。夏の朝清涼感はまことに快適。

夏深し 晩夏

夏闌 ( なつたけなわ )

晩夏と同じ。

( なつ ) ( はて )  晩夏

夏終 ( なつおわ ) る  夏果 ( なつは )

夏もいよいよ終り。

( あき ) ( ) つ 晩夏

秋待 ( あきま )

夏の終り、秋の近づく季節。晩夏。

( あす ) の秋 晩夏

翌来 ( あすく ) ( あき )

この日で夏が終って明日は秋となる。

地理

( あお ) ( )  晩夏

青田風 ( あおたかぜ )   青田波 ( あおたなみ )   青田道 ( あおたみち )

田植えした苗が伸びて、一面青田となる。風にゆらぐさま。一息の清涼感を覚える。

( なつ ) ( やま )  三夏

夏山 ( なつやま )   夏嶺 ( なつね )   青嶺 ( あおね )   夏山家 ( なつやまか )

山の形容は季節により異なる。夏は「 蒼翠滴 ( そうすいしたた ) るが如し」、で表現している。蒼翠はつやのあるみどり。春は「山笑う」、秋は「山粧う」、冬は「山眠る」と表わす。

花畠 ( はなばたけ )  晩夏

高山植物が咲き乱れた地帯、高峰を望む高原、雪解けをまって開花する。花畠は秋の季語。

雪溪 ( せっけい )  晩夏

高山の溪を埋めた雪が、夏になってもなかなか消えず、万年雪として残る。これを「雪溪」という。「雪溪」は明治末頃から使う。

( たき ) (滝) 三夏

滝壺 ( たきつぼ )   ( たき ) ( おと )   滝道 ( たきみち )   滝浴 ( たきあび )

山中・絶壁の高いところから直ちに落ちる水、ゆるやかに落ちるものなども「滝」である。

( いずみ )  三夏

地下から湧き出る水、岩間から流れ出る水、池となって湛えている。山間に多い。

清水 ( しみず )  三夏

山清水 ( やましみず )   苔清水 ( こけしみず )   草清水 ( くさしみず )   岩清水 ( いわしみず )   真清水 ( ましみず )

山や野に、天然に湧き出している清冽な水。

真清水 ( ましみず ) 」は清水の美称。

( したた ) り 三夏

夏期・ 懸崖 ( けんがい ) ・絶壁や苔などをつたわって落ちる 清冽 ( せいれつ ) な点滴をいう。

噴井 ( ふけい )  三夏

自然に地下水が吹きでる井戸のこと。山近いあたりの井に多い。

見る目にいかにも涼しい感じ。

田水沸 ( たみずわ ) く 晩夏

炎天下では田の水は湯のようになること。農家の人達には田の草取りにはその感が強い。

日焼田 ( ひやけた )  晩夏

( ひでり ) が続いて、水がなくなっている田。

( なつ ) ( うみ )  三夏

夏海 ( なつうみ )  夏 ( じお )  夏の ( しお )  夏の ( はま )

土用浪 ( どようなみ )  晩夏

太平洋に面した海岸にのみに起る現象、土用の頃風がないのに、波が高く、うねりをおこす。海水浴に注意。

生活

漆掻 ( うるしかき )  晩夏

漆掻 ( うるしか )

漆の樹液を採集するため特殊な刃物で樹皮に切り目をつけ、そこに ( たま ) る乳状液が出るのを待って採集する。七月頃が最も盛んで品質がよい。会津・大和・丹波産が名高い。

夏館 ( なつやかた )  三夏

夏の宿 ( やど )   夏邸 ( なつやしき )

すべて夏らしい装いをした邸宅をいう。涼を求める装いの中で、打水もその一つ。

夏座敷 ( なつざしき )  三夏

障子 ( しょうじ ) ( ふすま ) などはずし、 葭障子 ( よししょうじ ) 、青 ( すだれ ) など夏向きの 室礼 ( しつらい ) を施した座敷のこと。

( おおぎ )  三夏

扇子 ( せんす )   白扇 ( はくせん )   絵扇 ( えおおぎ )   絹扇 ( きぬおおぎ )   古扇 ( ふるおおぎ )   小扇 ( こおおぎ )

( あお ) いで涼を求めるための扇。古名「かわほり」(こうもり)。こうもりを見て考察したとある。今日の扇子は骨組みに紙を貼る。平安の貴族は板扇( ( ひのき ) )を用いた。

団扇 ( うちわ )  三夏

( うちわ )   絵団扇 ( えうちわ )   絹団扇 ( きぬうちわ )   白団扇 ( しろうちわ )   渋団扇 ( しぶうちわ )   水団扇 ( みずうちわ )   古団扇 ( ふるうちわ )   団扇掛 ( うちわかけ )   団扇置 ( うちわおき )

あおいで涼を取る他に、火おこし、冷すなどに使用する。形はさまざまで円形・卵形・方形等ある。仕様にもさまざま。渋を塗ったものは台所、絹団扇は部座用と使い分ける。

蒲筵 ( がまむしろ )  三夏

蒲で編んだ筵。夏に座敷や縁側に敷く。

花茣蓙 ( はなござ )  三夏

絵筵 ( えござ )   綾筵 ( あやござ )

美しい花模様に織りだした 藺草 ( いぐさ ) の茣蓙。夏季縁側や板の間に敷く。「花筵」は花見に用いる。

著茣蓙 ( きござ )  三夏

今は見られない。昭和三十年には姿を消す。

合羽 ( かっぱ ) の代用、夏旅行、登山など日射を避け、雨を ( しの ) ぐ為に用いた。一枚の茣蓙で、 ( あご ) の下で結び止めるもの。

寝茣蓙 ( ねござ )  三夏

寝筵 ( ねむしろ ) 藺草 ( いぐさ ) で織った茣蓙で夏の夜寝苦しい時に敷 蒲団 ( ふとん ) の上に敷いて寝る。又昼寝用に用いる。

ハンモック 三夏

吊床 ( つりどこ )

目の荒い網の両端に網をつけ緑蔭の幹とか柱などに結びつけ、これに集って昼寝・納涼に用いる。

日除 ( ひよけ )  三夏

日覆 ( ひおい )

夏に日光を避けるため布を張ったり簀を立てたりする。窓や店頭に用いる。

日傘 ( ひがさ )  三夏

日がらかさ  絵日傘 ( えひがさ )  パラソル  砂日傘 ( すなひがさ )

夏期日光を ( さえぎ ) るために用いる傘。婦人用の洋傘を「パラソル」、海水浴場など休憩所用の大日傘を「 ( すな ) 日傘」、絵や花柄文様を「絵日傘」という。傘も時代と共に変化し消えるもの。晴雨兼用のビニール傘も見かける。

網笠 ( あみがさ )  三夏

台笠 ( だいがさ )   ( すげ ) 笠  藺笠 ( いぐさがさ )   檜笠 ( ひのきがさ )   網代笠 ( あじろがさ )   饅頭笠 ( まんじゅうがさ )   市女笠 ( いちのがさ )   女笠 ( おんながさ )   熊谷笠 ( くまがいがさ )

夏期、日光を避けるため用いたもの。日中外で働く職業の者が用いた。材質や形などによりその名がある。今日の帽子。

山開 ( やまびらき )  晩夏

山開 ( やまびら )

登山の目的は元来信仰に基づいたもの。今は体を鍛える。レジャーなどさまざま。富士山は古くは六月一日、今は七月十日山開き。

富士詣 ( ふじもうで )  晩夏

( ) ( ) 山開 ( やまびらき )   富士道者 ( ふじどうじゃ )   富士行者 ( ふじぎょうじゃ )   富士講 ( ふじこう )   駒込富士詣 ( こまごめふじもうで )   浅草富士詣 ( あさくさふじもうで )

江戸時代山岳信仰として盛大を極める。七月十日山開き、頂上に鎮座する富士権現に参詣することをいう。「富士講」(富士詣の団体)、 富士道者 ( ふじどうじゃ ) (参詣団体の人々)。 富士行者 ( ふじぎょうじゃ ) (参詣団体の伴って登山する先達)。白衣をまとい鈴、杖を携える。

登山 ( とざん )  晩夏

山登 ( やまのぼり )  登山 宿 ( やど )   登山小屋 ( とざんこや )   山小屋 ( やまこや )   登山口 ( とざんぐち )   登山杖 ( とざんつえ )  登山 ( かさ )  登山 ( うま )

日本には古来、山岳信仰があり、信仰に依る登山者は、白衣に 茣蓙 ( ござ ) を着て、登山帽、 草鞋 ( ぞうり ) ばきで登山杖を持って山に夏登る。

昭和の初めまでは登山は夏登るものであった。今日の登山は信仰より体を鍛える・レジャーに年中登る。軽装な姿、事故も多い。

キャンプ 晩夏

キャンプ キャンピング  天幕村 ( てんとむら )

夏期、涼しい高原・湖畔・海辺・林間などに天幕を張り、簡易な生活をして自然に親しむこと。

帷子 ( かたびら )  晩夏

黄帷子 ( きかたびら )   白帷子 ( しろかたびら )   染帷子 ( そめかたびら )

麻や ( からむし ) などの織物などで作った単衣をいう。黄帷子は卵色で ( もん ) 付きが多い。着心地がよく貴人も用いるようになり、江戸時代に普及する。

上布 ( じょうふ )  三夏

薩摩 ( さつま ) 上布  越後 ( えちご ) 上布

麻織物の一種、 ( からむし ) ・麻等の細糸で織った布。

「越後上布」、「薩摩上布」は名高い。

芭蕉布 ( ばしょうふ )  三夏

芭蕉の皮の繊維で織った布である。

薄物 ( うすもの )  晩夏

軽羅 ( けいら )   ( うすもの )

盛夏の頃用いる ( ) ( しゃ ) ・明石・上布など。

薄絹で作った単衣をいう。

浴衣 ( ゆかた )  三夏

湯帷子 ( ゆかたびら )  浴衣 ( )   ( そめ ) 浴衣  ( かし ) 浴衣 浴衣 ( かけ )   ( ふる ) 浴衣  ( はつ ) 浴衣  ( あい ) 浴衣

入浴の前後に用いた「単衣」の略称。主として木綿地のものが多かった。今日は外出する風習となったので、絹織物も用いる。

晒布 ( さらし )  三夏

( さらし )   奈良晒 ( ならさらし )   晒川 ( さらしかわ )   晒時 ( さらしどき )

麻布・木綿布を灰汁に浸し、煮て、よく洗浄して純白にした布。日光に晒す、奈良産のものが有名。

甚平 ( じんべい )  晩夏

じんべ  甚兵衛 ( じんべえ )

麻や薄地の布で作った、袖無し羽織のような単衣で、夏に関西地方で子供や老人が多く用いる。

ハンカチ 三夏

ハンカチーフ  汗拭 ( あせふき )   汗拭 ( あせぬぐ ) い  汗巾 ( あせふき )

昔は「日本手拭」を半分に切って用いる。木綿・麻・絹・ガーゼなど白地のもの。涼しい文様など多様。夏のエチケット。

衣紋竹 ( えもんだけ )  三夏

衣紋竿 ( えもんざお )

竹・木製の長さ六十~七十センチで夏衣類などかけて乾かす。着物用ハンガー。

( たかむしろ )  三夏

籐筵 ( とうむしろ )  とむしろ  蒲筵 ( がまむしろ )

竹を細く割って編んだ筵。夏期専用の敷物、籐で編んだものを「籐筵」、蒲で編んだのを「蒲筵」という。

油団 ( ゆとん )  三夏

夏用の敷物。和紙を厚く張り合わせ表に油又は漆を塗る、夏用の敷物。冷たいので気持が良い。畳の汚れをさけるのに役立つ。

円座 ( えんざ )  三夏

( いぐさ ) ( がま ) ( わら ) ( すげ ) で円形に編んだ敷物。涼み台・縁台等に敷く。見る目涼しく、神棚などに敷くと清浄な感じ。

籠枕 ( かごまくら )  三夏

籐枕 ( とうまくら )

竹・籐で籐目に編んだ枕である。中は空洞で風を通す。夏季に用いる。

竹夫人 ( たけふじん )  三夏

抱籠 ( だきかご )   添寝籠 ( そいねかご )   竹奴 ( ちくど )   竹婦人 ( たけふじん )

長さ一m~一・五m位の細長い竹製の籠で、寝る時、抱いたり足をもたせるなど、涼を取るために用いる。今は見られない。

竹床几 ( たけしょうぎ )  三夏

竹で作った「腰掛」をいう。納涼に用いる。

噴水 ( ふんすい )  三夏

吹上げ

庭園・公園の池中に水を噴き上げる。涼味をよぶためのもの。

瀧殿 ( たきどの )  三夏

納涼のために瀧のほとりに作った建物。平安時代、国風文化の建築様式。

( いずみ ) 殿 ( どの )  三夏

水殿 ( みずどの )   釣殿 ( つりどの )   水亭 ( すいてい )

納涼のために泉水の上に突き出して作った 四方屋 ( あずまや ) 。平安時代、国風文化の建築様式。

川床 ( かわどこ )  仲夏~初秋

( ゆか )   床涼 ( ゆかすず ) み  河原納涼 ( かわらすずみ )   川床 ( かわどこ )

京は盆地。夏は暑い。京都四条川原の川床が名高い。納涼のため、川の流れに突き出して設けた床をいう。

納涼 ( すずみ )  晩夏

( すず ) む  ( はし ) 涼み  ( えん ) 涼み  土手 ( どて ) 涼み  ( いそ ) 涼み 夕涼み  ( よい ) 涼み  ( よる ) 涼み 涼み台 涼み ( ふね )

暑さを避けるため、涼しい所に出て涼む、情景。橋の上で縁・土手・海でとさまざま。

端居 ( はしい )  三夏

夏、室内の暑を避け庭に出て風景を味わいくつろいでいるさま。

打水 ( うちみず )  三夏

水撒 ( みずま ) き 水 ( )

夏、庭・路地に水を撒く。地焼を ( ) まして涼風を呼ぶためにする。

行水 ( ぎょうずい )  晩夏

大きい ( たらい ) に湯や水をたたえて、身体の汗を流すのをいう。簡単な湯浴で湯殿や庭先等でもやる。

夜店 ( よみせ )  三夏

夏の夕方、街の路傍に出て店を開くことをいう。安い品を商う。

箱釣 ( はこづり )  三夏

夏の風物詩。夏祭のなどで浅い箱の水槽に金魚・目高など入れ紙の 杓子 ( しゃくし ) ですくう。金魚すくい。鯉や鮒など餌なしの釣りで引かける遊びを「箱釣」という。

夏芝居 ( なつしばい )  三夏

夏狂言 ( なつきょうげん )   土用芝居 ( どてしばい )   水狂言 ( みずきょうげん )

夏に興行する演劇。昔歌舞伎では、五月狂言をうちあげると、土用休みをとった。その土用休み中に若手が臨時の座組を作り興行した演劇を「 土用芝居 ( どようしばい ) 」という。主に怪談物、喜劇、水を使ってする暑中興行をした。

ながし 三夏

新内 ( しんない ) ながし

夏の夜、花街を二人連れで、一人がうたい、一人が三味線を弾き歩く。座敷から呼びとめられると、艶に哀調を帯びたひと節を聞かせる。

夜濯 ( よすすぎ )  三夏

盛夏の頃、肌着類など汗で汚れる。その晩に洗って夜干をしておく。朝は乾いている。夜の洗濯のこと。

瓜番 ( うりばん )  晩夏

瓜小屋 ( うりこや )   瓜守 ( うりもり )   瓜盗人 ( うりとうじん )

甜瓜 ( まくわうり ) や、西瓜が盗まれないよう夜中畑の番をする者が「瓜番」「瓜守」である。畑の真中に「瓜番小屋」・「 ( むしろ ) 小屋」に古い 蚊帳 ( かや ) を吊るし、蝋燭など立てて見張る。

振舞水 ( ふるまいみず )  晩夏

接待水 ( せったいみず )   水振舞 ( みずぶるまい )

昔、夏の暑い盛りに路傍に樽や 手桶 ( ておけ ) に飲料水を満たし、 柄杓 ( ひしゃく ) ・茶碗を添え通行人に自由に飲ませた。今では見かけない。

風鈴 ( ふうりん )  三夏

風鐸 ( ふうたく )   風鈴売 ( ふうりんうり )

鐘の形、内から舌が垂れ短冊を付けている。材質は金属製・ 硝子 ( がらす ) 製・陶製などある。共に軒や窓などに吊るし風がくるたび涼音を楽しむ。歴史は古く鎌倉・室町時代に風を・・・音として楽しむ。

釣忍 ( つりしのぶ )  三夏

吊忍 ( つりしのぶ ) 忍草 ( しのびくさ ) を小形の風鈴・ 井桁 ( いげた ) ・舟などの形にして軒などに吊るって観賞する。水をかけると涼しさを呼ぶ。夏の風物の一つ。

金魚売 ( きんぎょうり )  三夏

一九六五年(昭和四十年)頃まで見られた。「金魚えー金魚えー」と 天秤棒 ( てんびんぼう ) に金魚の桶を荷って、金魚売が来たもの。夏の景物の一つ。

金魚玉 ( きんぎょたま )  三夏

金魚 ( ばち )

金魚を入れる容器(ガラス鉢)。軒端に吊るす。卓上に置いて楽しむ。

水盤 ( すいばん )  三夏

浅い陶製の鉢で形・大きささまざま。涼しさを求め、 室礼 ( しつらい ) として床の間に、水をはり ( ひえ ) や八ツ頭の芽を楽しむ。涼趣によい。

稗蒔 ( ひえまき )  三夏

稗蒔 ( ひえま )

さまざまな容器や水盤に水をはり稗を蒔き、目が生え ( そろ ) った涼趣を観賞する。又は畑に稗を蒔くことをいう。

箱庭 ( はこにわ )  三夏

盆景 ( ぼんけい )

庭の浅い箱に土を盛り、草や木・石を置いて山水を配置し庭園を作る。「盆景」、室町時代東山文化に栄える。

水遊 ( みずあそび )  三夏

( みず ) 合戦  水試合 ( みずしあい )   水戦 ( みずいくさ )

夏の子供達の「水遊び」をいう。子供にとっては楽しいもの。

水鉄砲 ( みずてっぽう )  三夏

子供の玩具。竹、木等がある。一方に水孔の水吐口をつけ、水を入れ一方から布を巻いた棒をさす。

水中花 ( すいちゅうか )  三夏

水中に投げると人物・花鳥などの形となる玩具。夜店、縁日などで売っていた。昭和三十五年頃までかな。今は見られない。

花氷 ( はなこおり )  晩夏

氷柱 ( こおりばしら )

今日のように冷房完備でない時代、室内を涼しく見せるため、きれいな草花などを閉じ込めた氷の柱を立てた。これを花氷という。単に氷を立てたものは氷柱という。

氷室 ( ひむろ )  三夏

氷室守 ( ひむろもり )  氷室の ( ゆき )  氷室 ( やま )

貴人が夏に食するため、冬に氷を貯蔵するところを「氷室」という。その番人を氷室 ( もり ) 、氷室に貯えた雪が「氷室の雪」、その山を「氷室山」という。陰暦四月~九月まで使用する。

明治に入り人工氷を作るようになる。昔は氷は天皇、高貴な人のもの。

祇園会 ( ぎおんえ )  晩夏

祇園祭 ( ぎおんまつり )   山鉾 ( やまほこ )   祇園囃 ( ぎおんばやし )   屏風祭 ( びょうぶまつり )   宵山 ( よいやま )   宵飾 ( よいかざり )   ( ほこ ) ( ちまき )   無言詣 ( むごんもうで )   鉾稚児 ( ほこちご )

京都八坂神社の祭礼をいう。七月いっぱいの行事。ピークは七月十七日~二十四日、「葵祭」と共に京都二大祭り。「祇園会」の起りは平安時代初期、清和天皇八六九年疫災退散のため。応仁の乱で一時中止する。江戸時代に入って今日の山・鉾の巡行、行列の形の式が整備され今日まで続いている。八坂神社の社紋に似ている故に氏子は胡瓜を食べない風習がある。

昼寝 ( ひるね )  三夏

午睡 ( ごすい )   昼寝起 ( ひるねおき )   昼寝覚 ( ひるねざめ )   昼寝人 ( ひるねびと )   三尺寝 ( さんじゃくね )

夏の夜は短く、暑さのため常に睡眠不足になる。又暑さのため疲れやすく「昼寝」をする。

三尺寝とは狭い所という意味と、大工・左官など職人は日陰が三尺(九十センチ)動く間だけ昼寝をとるという意味。

日向水 ( ひなたみず )  晩夏

夏の 烈日 ( れつじつ ) の下に、水桶や ( たらい ) に水を入れ、日光で温めたで温めた水をいう。これを洗濯や行水にしたりする。燃料の節約になる。

水番 ( みずばん )  晩夏

夜水番 ( よみずばん )   水番小屋 ( みずばんこや )   水守 ( みずまも ) る  水盗 ( みずぬす )

夏の盛り田に最も大切な用水を盗まれるのを防ぐために見張りをすることをいう。夜間に多く、この番人を「夜水番」という。

水喧嘩 ( みずけんか )  仲夏~

水論 ( すいろん )   水争 ( みずあらそい )   水敵 ( みずかたき )

夏に ( ひでり ) が続くと、農夫達が田の用水について争うことをいう。村と村の竹槍騒動が持ち上がることもある。

雨乞 ( あまごい )  晩夏

( あめ ) ( いのり )   祈雨 ( きう )   祈雨経 ( きうきょう )

旱魃 ( かんばつ ) の折に農林では氏神様・水神様に 請雨 ( せいう ) の祈りをする。祈りにはお経を読んだり、踊ったり、神水を散すなどをする。

跣足 ( はだし )  三夏

( はだし )   徒跣 ( はだし )   素跣 ( すあし )

素足で、地上を歩くこと。

( はだか )  晩夏

赤裸 ( あかはだか )   ( まる ) 裸  ( ) 裸  真裸 ( まっぱだか )   裸身 ( らしん )   裸子 ( はだかご )

暑さのため衣類を脱ぐこと。

日焼 ( ひやけ )  三夏

夏紫外線が強いため皮膚が黒く焼ける。

ボート 三夏

夏になると川・池・湖などで「ボート」を漕ぐ人が見られる。賑わうのは梅雨明けごろ。

ヨット 三夏

湖上・海上などで小舟に帆をはり、風をはらませ、舵をあやつり、水上を快走する。夏に娯楽用の帆艇など行われる。

( およ ) ぎ 晩夏

水泳 ( すいえい )   遊泳 ( ゆうえい )   競泳 ( きょうえい )   遠泳 ( えんえい )   川浴 ( かわあび )   ( およ ) ( ぶね )   浮袋 ( うきぶくろ )   浮板 ( うきいた )

暑くなると海、河に入って泳ぐ、夏のスポーツ。古来日本では水練は武術の一つ。流派があった。明治以降、自由型、背泳、バタフライ、平泳、外国から輸入。

潮浴 ( しおあび )  晩夏

潮浴び

海水浴のこと。

海水浴 ( かいすいよく )  晩夏

潮浴 ( しおあ ) び  ( なみ ) のり

夏に子供達が暑さを避けるため、潮浴びをする。保健衛生にも良い。海水浴場は都会から押し寄せ、「海水浴」を楽しむ。

海水着 ( かいすいぎ )  晩夏

海水浴の際に着る水着。

避暑 ( ひしょ )  晩夏

避暑 ( )  避暑の 宿 ( やど )  避暑 ( きゃく )  避暑の ( たび )  避暑 ( )   銷夏 ( しょうか )

夏涼しい海、山、高原などに出掛ける。 逗留 ( とうりゅう ) したりする。

夏休 ( なつやすみ )  晩夏

暑中休 ( しょちゅうやすみ )   暑中休暇 ( しょちゅうきゅうか )

学校では毎年七月下旬から一ヶ月程定期休校をする。一般会社・諸官庁など、有給休暇をとる。

帰省 ( きせい )  晩夏

帰省子 ( きせいし )

学生・会社員など夏期休暇などを利用して故郷に帰る。夏期が最も多い。

林間学校 ( りんかんがっこう )  晩夏

夏休みを利用して小・中学校の学生を涼しい所に転地し、授業・運動など数日を過ごさせる。臨時の学校。欧米に習う。

暑中見舞 ( しょちゅうみまい )  晩夏

土用見舞 夏見舞

日本古来の風習。暑中親しい家々が物を贈答したり、「見舞状」を交換したりする。

虫干 ( むしぼし )  晩夏

虫払 ( むしはら ) い  土用干 ( どようぼし )   曝書 ( ばくしょう )   ( しょ ) ( ばく ) す  曝涼 ( ばくりょう )   風入 ( かぜいり )

土用の晴天の日、神社・仏閣・家々で衣類・書籍・調度品類を陰干し、風通し、カビ・虫などを防ぐのをいう。書籍の虫干を「曝書」という。

暑気払 ( しょきばら ) い 晩夏

薬を服用して暑気を払う。その薬はこうじゅ散・ 枇杷葉湯 ( びわようとう ) 。薬以外のもので暑気を払うのは梅酒か焼酎などで。暑気払いには二通りある。

香水 ( こうすい )  三夏

夏に汗の臭い体臭を消すために用いる。香水の種類は多種ある。衣服・ハンカチ・扇などにつける。

掛香 ( かけこう )  三夏

匂い袋  薫衣香 ( くんえこう )

夏室内の臭気を防ぎ、邪気を払うため、袋に入れた香を柱などにかけておく。婦人はこれを身に付ける。「匂い袋」は香料を入れた袋。懐中に、 箪笥 ( たんす ) の中に、入れる。

暑気 ( あた ) り 晩夏

暑さあたり 暑にまける

暑さのため身体を害し、食欲不振になる。

水あたり 三夏

夏、生水を飲み胃腸を損うこと。

夏痩 ( なつやせ )  三夏

夏、食欲がなくなり、やせる。夏 ( まけ )

川開 ( かわびらき )  晩夏

両国 ( りょうごく ) 花火 ( はなび )

東京隅田川、両国橋畔に上下流に於て、七月下旬頃大花火を打ちあげる行事がある。これを川開という。おこりは江戸中期あり、大変な賑わい。 黄檗宗 ( おうばくしゅう ) が全国に拡げた。

天神祭 ( てんじんまつり )  晩暑

天満祭 ( てんままつり )   天満 ( てんま ) 御祓 ( みそぎ )   船祭 ( ふなまつり )

日本三大祭りの一つ。七月二十五日大阪市北区「天神祭」、「天満祭り」又は「船祭り」ともいう。宵宮祭りには ( ほこ ) 流の神事。二十五日の 川渡御 ( かわとぎょ ) とたいそう盛大。起源は古く、天暦七年(九五三年)。千年を越えている。

御祓 ( みそぎ )  晩暑

夏越 ( なつこし ) ( はらえ )   御祓 ( おはらえ )   大祓 ( おおはらえ )   名越 ( なごし ) ( はらえ )   夏越 ( なこし )   六月 ( みなづき ) の祓  水無月祓 ( みなづきはらえ )   荒和 ( あらにこ ) ( はらえ )   夕祓 ( ゆうはらえい )

川祓 ( かわはらえ )   御祓川 ( みそぎかわ )   形代 ( かたしろ )   購物 ( あがもの )   撫物 ( なでも )   形代流 ( かたしろなが ) し  祓草 ( はらえぐさ )   七瀬 ( ななせ ) 御祓 ( みそぎ )

陰暦六月 晦日 ( みそか ) 、又は陽暦七月晦日、明治六年から、諸社で行われる神事のこと。元は大宝令の定め、「六月の祓(水無月祓)」と十二月に行われたが、十二月廃れる。「六月の祓い」だけとなった。

形代 ( かたしろ )  晩暑

御祓のとき、白紙を人の形に裁ち切ったもので体をなで、それに自分の名前を書いたもの。体に着いた汚れを祓った。

( ) ( )  晩夏

菅貫 ( すがぬき )   菅抜 ( すがぬき )

陰暦六月晦日の夏越に用いる ( かや ) の輪。菅貫、菅抜ともいい、茅を紙で包み束ねて輪の形に作って神社の鳥居のなか、拝殿におき、参詣人はこれをくぐることによって病災をまぬがれるという信仰。

菅刈 ( すげかり )  晩夏

菅刈 ( すげか ) る  菅干 ( すげほ ) す  ( すげ )

七月頃刈り取って干す。干して ( みの ) ・笠・ ( むしろ )

縄等の材料になる。乾かすと白く美しい、加賀・摂津の産が有名。

藺刈 ( いかる )  三夏

藺刈 ( いか ) る  藺干 ( いほ ) す  藺草 ( いぐさ )

七月末頃刈り取って干す。畳表・ 茣蓙 ( ござ ) にする。

また橙心を作る。岡山・広島・福岡・愛知産。

動物

雷鳥 ( らいちょう )  晩夏

天然記念物。日本アルプスの高所に棲み、動作は鈍く高くは飛べない。人が近づいても容易に逃げようとしない。保護色の為、冬は全身白くなる。

( せみ )  晩夏

蝉時雨 ( せみしぐれ )   唖蝉 ( おしぜみ )   初蝉 ( はつぜみ )   蝉涼 ( せみすず ) し  蝉捕 ( せみと ) り  油蝉 ( あぶらぜみ )  みんみん ( ぜみ )   朝蝉 ( あさぜみ )   夕蝉 ( ゆうぜみ )   夜蝉 ( よるぜみ )

森の中での「蝉時雨」は夏の季語。種類も多い。にい蝉は「ニイニイ」。油蝉は「ジュイ」。みんみん蝉は「ミーンミーン」。鳴くのはオス蝉ばかり、メスは「 唖蝉 ( おしぜみ ) 」で鳴かない。

空蝉 ( うつせみ )  晩夏

蝉の殻 蝉の脱殻

蝉の「脱殻」のこと。幼虫が土の中で数年生活して ( さなぎ ) となる。木の幹に上がり、皮を脱ぎ羽化して蝉となる。ぬけ殻を「空蝉」という。

植物

青柚 ( あおゆ )  晩夏

古来「柚子は酒毒を解し、飲酒の人の口気を治す」とある。柚子は五月頃花を終えると実を結ぶ。青柚は三㎝程の小さな濃緑色の玉。皮の香りは料理に。青柚は夏、柚子は秋。

岩梨 ( いわなし )  晩夏

こけもも

日本の固有種。ツツジ科、岩から顔を出す二五㎝程の常緑低木で花は初花に咲き「実を結ぶ」。小粒な実は熱すると旨く味は梨に似ている。地方の子供達は取って食べる。白ワイン漬けとなし、小鉢の天盛り季を添える。

沙羅 ( しゃら ) ( はな )  晩夏

夏椿の花 さるなめ あからぎ

ツバキ科の落葉高木。山中に自生、庭にも植える。七月に五㎝位の白い花は椿に似ている。「夏の茶花」としての顔もある。インドの沙羅樹は日本にはない。

( がま ) ( )  晩夏

蒲の穂は水辺、沼沢に自生。円柱状の「蒲の穂」の上部は雄花穂(黄色花粉)でその下に雌花穂(緑色花粉)があり雌雄つながっている。雄花穂が消え、雌花穂が残る。雌花穂は傷薬り、煎じて薬用に利用。※蒲の穂は蒲鉾の語源。

行事食

胡瓜揉 ( きゅうりもみ )  三夏

瓜揉 ( うりも ) む  瓜膾 ( うりなます )

夏の代表的な野菜「胡瓜」は薄く輪切となし塩で揉む。洗い流し固く絞ると歯ざわりが良い。

二杯酢・三杯酢も良いが、汗を沢山かいた日には「甘酢」が捨てがたい。棒麩は相性が良い。

( ひや ) ( うり )  三夏

甜瓜 ( まくわうり ) 」、「真桑瓜」とも書く。井戸水を ( たらい ) に汲み、瓜を冷したのはこの瓜。プリンスメロンやハウスメロンの普及により姿を消す。昔の味が恋しいと思う。プリンスより甘み薄い。

瓜漬 ( うりづけ )  三夏

胡瓜漬 ( きゅうりづけ )

「胡瓜」、「 越瓜 ( しろうり ) 」、「青瓜」を塩漬け、糠味噌漬とする。瓜類は皮が厚く種が多いのが特徴、盛夏の頃は外皮を厚くむき、種を取り塩漬にする。越瓜はなるべく小さなものを選ぶと良い。大きいものは奈良漬にする。

乾瓜 ( ほしうり )  三夏

雷乾 ( かみなりのし )   雷干 ( かみなりぼ )

越瓜 ( しろうり ) 」を 螺旋 ( らせん ) 状に長く連ねて切り、塩水に漬けて陰干にする(雷干し)。

冷素麺 ( ひやしそうめん )  三夏

冷素麺 ( ひやそうめん )   素麺冷 ( そうめんひや )

「素麺」を茹でて冷水・氷水で冷やしたものをいう。麺類中一番細く夏季向きで、産地や製法により名称が違う。「三輪素麺」・「五色素麺」など、製造は十二~三月。

冷麦 ( ひやむぎ )  三夏

「冷麦」は「素麺」と同じ小麦粉を原料とする乾麺。「素麺」より太い、茹でて冷水にとり素麺同様つけ麺・かけ麺で食す。

麦湯 ( むぎゆ )  三夏

麦茶 ( むぎちゃ )

大麦の殻付のまま炒って煎じた飲料。麦茶ともいう。夏になると、ひと昔前には、各家庭で作り井戸水で冷す。香り高い飲料。戦前には道ばたに湯呑所を設けて麦湯の接待(振舞水)。

砂糖水 ( さとうみず )  三夏

砂糖に冷水を注いで飲む清涼飲料。ひと昔前の飲みもの。今はレモンを絞ったりして楽しんでいる。

飴湯 ( あめゆ )  三夏

飴を湯でとかした飲料。胃腸の薬とされた夏の飲み物で季語は夏。昔飴湯売の行商があった。大阪に多い。

氷水 ( こおりみず )  三夏

夏氷 ( なつこおり )   削氷 ( けずりひ )   氷店 ( こおりみせ )   氷売 ( こおりうり )   氷小豆 ( こおりあずき )   氷苺 ( こおりいちご )

( かんな ) を使ったり、器械を回して削った氷にミルク・いちご・レモンシロップをかけたりする。茹で小豆をのせて楽しむ。夏の風物詩。

氷菓 ( ひょうか )  三夏

氷菓子 ( こおりかし )  アイスクリーム ソフトクリーム アイスキャンディ

夏の氷菓子の総称をいう。「氷菓」は季語としての響がよい。

麦酒 ( ビール )  三夏

冷し麦酒 ( ビール )  生ビール  ( くろ ) ビール  発泡酒 ( はっぽうしゅ )  ビアガーデン

夏に最も愛用される飲料。昭和三十九年以降婦人にも愛用されるようになる。大麦で製した酒で製法により「エールビール」(上面発酵)、「ラガービール」(下面発酵)が主で種類も多い。酒税の面で発泡酒、第三のビールが発売される。ビール紀元前四~五千年前。起源はエジプト。

甘酒 ( あまざけ )  三夏

( あまざけ )   一夜酒 ( ひとよざけ )  甘酒 ( うり )

「甘酒」造りは実に簡単。 ( うるち ) 米・ 糯米 ( もちごめ ) で柔らかいご飯を炊き、麹を加え、温めると、夏は八時間、冬なら夏の二~三倍の時間で作れる一夜酒。子供から大人まで好まれる。砂糖のない時代格別な」飲料。暑い時夏に愛用で季語は夏。冬期にも好まれる。「甘酒売り」は遠い時代の名残り。

古代来の赤・黒米でも出来る。

焼酎 ( しょうちゅう )  三夏

泡盛 ( あわもり )   甘藷焼酎 ( いもしょうちゅう )   黍焼酎 ( きびしょうちゅう )   粕取焼酎 ( かすとりしょうちゅう )

暑気払いとして用いる。焼酎には馬鈴薯・ 甘藷 ( いも ) 玉蜀黍 ( とうもろこし ) ・米・麦・粟・稗などが原料、酒粕などでも造る。以前は格安で庶民の飲料、今はブランド名あり価格さまざま。製法により甲類・乙類と分かれる。

冷酒 ( ひやざけ )  三夏

( ひや ) ( ざけ )   冷酒 ( れいしゅ )

以前の「冷酒」は一度燗をして冷して飲むもので夏の飲料。悪酔しないために燗をする考え方が一般的。「冷酒と親の意見は後の薬」。今は燗しない。

水羊羹 ( みずようかん )  三夏

小豆餡に寒天を混ぜ寄せる。笹や桜の葉で包む。瑞々しい羊羹。

心天 ( ところてん )  三夏

天草を ( さら ) して作った食品。乾かした天草を煮て溶かし、麻布で搾って容器に流し凝固させ、切って天突きしたもの。黒蜜をかけたり酢醤油をかけて食べる。夏の風物詩。 天花菜 ( てんくさ ) は日本各地で採れる。伊予の国宇和島良質。

葛餅 ( くずもち )  三夏

葛練 ( くずねり )   葛切 ( くずきり )

本葛を水で溶いて堅めに練り、箱に流す。冷して三角形に切り、黄粉と黒蜜をかけて食す。「葛切り」はうどんのように切ったもの。黄粉と黒蜜で食す。夏向きの菓子。

葛饅頭 ( くずまんじゅう )  三夏

皮は葛粉で作る。中に餡を入れ、桜の青々した葉で包んだ生菓子。冷して食べる。

密豆 ( みつまめ )  三夏

茹でた 豌豆 ( えんどうまめ ) ・寒天・ 求肥 ( ぎゅうひ ) を小さく切ったものに密をかけて食す。他に果物をカット、パイナップル、桃、みかんの缶詰を入れたフルーツ密豆、餡の入ったあん密などがある。夏期に子供・女子に好まれる。

茹小豆 ( ゆであずき )  三夏

柔らかく茹でた小豆に砂糖を加えたり、氷片など入れ冷たくして食べる。

( はったい )  三夏

麦炒粉 ( むぎいりこ )  こがし むぎこがし  麦香煎 ( むぎこうせん )   糗茶 ( はったいちゃ )   麦落雁 ( むぎらくがん )

新麦(大麦)を炒って粉にひいたもの、砂糖を混ぜて食べる。湯で練って食べる「麦こがし」、「こがし」水で溶いて固め干菓子としたもの「麦落雁」夏の食べもの。

冷奴 ( ひややっこ )  三夏

冷豆腐 ( ひやしどうふ )

豆腐を縦に庖丁し、横四等分にすると八貫になり、五貫を一人前にする。よくよく冷した豆腐に薬味は卸し生姜・紫蘇の葉・茗荷・七味・に花かつおを添え割醤油で頂く。好みにより胡麻油を落すのもよい。夏期の喜びの一品。

冷汁 ( ひやしじる )  三夏

( ひや ) ( じる )   煮冷 ( にざま ) し  煮冷 ( にびや )

夏期に冷した汁物で、味噌汁、 ( すまし ) 汁などを器ともども冷して用いた。平安時代の「台盤料理」の献立に「鯉の冷汁」が載っている。汁は飯の菜、吸物は酒の肴である。古い文献では冬でも酒の肴として供していた。季語は夏期。

干飯 ( ほしいい )  三夏

洗飯 ( あらいめし )   水漬 ( みずづけ )

ご飯を洗って干す又は残飯を洗って干したもので「 ( ほしいい ) 」といい保存食として貯えたもの。

炒って、水に浸してから食べるなどする。

古くは戦の折。旅人の弁当に用いた。「道明寺」は 糯米 ( もちごめ ) が原料。

水飯 ( すいはん )  晩夏

洗飯 ( あらいめし )   水漬 ( みずづけ )

盛夏、食欲のない時などご飯を洗って、冷水をかけて食す。これも美味、平安時代の貴族も食す。『源氏物語』にもあらわれている。

水飯の味は塩・梅干・味噌を直接入れる。

飯饐 ( めしすえ ) る 三夏

暑さの為に飯が腐りかけ汗をかくことをいう。特に麦飯が ( ) えやすい。その為に井戸の中に吊るしたりする。饐えかけた飯は洗って食べるか、雑炊にして食べる。今は冷蔵庫があるので助かる。

飯笊 ( めしざる )  三夏

夏期、飯の饐えるのを防ぐために、竹製の笊の「 飯櫃 ( めしびつ ) 」を用いる。蓋がある。

( すし )  三夏

( すし )   圧鮓 ( おしずし )   握鮓 ( にぎりずし )   五目鮓 ( ごもくずし )  ちらし ( ずし )   早鮓 ( はやずし )   早圧鮓 ( はやおしずし )   一夜鮓 ( いちやずし )   鮎鮓 ( あゆずし )   鯖鮓 ( さばずし )   鮒鮓 ( ふなずし )

鮓には大別すると「早鮓」(ご飯に酢・砂糖・塩で合せ ( ねた ) をのせる)の中には「握鮓」・「五目鮓」・「圧鮓」など主で江戸時代中期以降に作られた。もう一つは「なれ鮓」(鮒鮓・鮎鮓など)古く『延喜式』の文献にも見える。塩圧した鮒・鮎を桶に入れ、ご飯を混ぜ寝かせ自然発酵させたもの。通人に好まれる。握鮓は日本料理の代表的なもの。外国人にも好まれる食べ物。

干鱧 ( ひはも )  三夏

鱧料理は関西有名で夏が旬、干鱧は小さめの鱧を開いて骨切りし焼いたもの。二杯酢・三杯酢・梅肉など好みで食す。つけ合せは胡瓜揉みがあう。

あらい 三夏

洗膾 ( あらい )

夏の代表的な料理。活きた魚を三枚に卸し、上身となし、そぎ身に庖丁、冷水にて洗う、身がはぜるのが洗い。清涼感に満ちた器に盛る。ギャマン・青磁・黄交趾など。あらいの代表的食材、 ( こい ) ( すずき ) ・鯛・黒鯛・車 ( えび ) ・あこう・こちなど。鯉は酢味噌が合う。

夏料理 ( なつりょうり )  三夏

味はさっぱりと、見た目に涼しくが夏料理。家庭料理では冷奴、茄子の味噌炒め、胡瓜揉み、漬物では浅漬け。料亭では洗い、冷吸物、鮎の塩焼、鰻料理、水貝などがある。

船料理 ( ふなりょうり )  三夏

川岸につながれたままの屋形船の船中で料理する。有名なのは大阪、 舟生州 ( ふねいけす ) 生簀船 ( いけすぶね ) 、夏料理。

水貝 ( みずがい )  三夏

夏の代表的な料理。黒鮑を塩で洗い、身が締まったところで貝をはずし、賽の目に切り氷水の立塩に鮑・胡瓜・独活・ 蓴菜 ( じゅんさい ) など放し供す。塩味で、割酢・割醤油など好みで食す。

背越 ( せごし )  三夏

背越膾 ( せごしなます )   沖膾 ( おきなます )

沖でとれた小魚類(鯵・きすなど)を頭、鱗、腸、鰭、尾を去り、骨ぐるみ庖丁し切り離す。

淡水では若鮎の背越しは美味。

泥鰌鍋 ( どじょうなべ )  三夏

泥鰌汁 ( どじょうじる )   泥鰌鍋 ( どじょうなべ )

大きいのは割き泥鰌と笹がき牛蒡を玉子でとじる。小さいものは丸のまま用いる。江戸時代泥鰌・牛蒡は精が付き、暑中に食べるものであった。「泥鰌汁」は主に味噌仕立。泥鰌鍋は江戸時代後期「文化」以降、「柳川鍋」は天保以降、日本橋柳川の屋号の名称。『守貞謾稿』

梅干 ( うめぼし )  晩夏

干梅 ( ほしうめ )   梅干 ( うめほ ) す  梅漬 ( うめづけ )   梅筵 ( うめむしろ )

梅干には黄色く、熱した梅を用いる。へたを竹串で取り塩漬とし、数日後汁が上るこれが「梅酢」である。梅を取り出し笊にならべ日に干す。赤紫蘇は塩揉みし絞って「梅酢」に梅と共に入れる。再びあげて土用中に三日三晩干す、これを土用干という。

土用鰻 ( どよううなぎ )  晩夏

土用の丑の日は平賀源内(江戸中期活躍、医者、本草学者)の「今日土用の日丑の日」の着板により今日迄続いている。夏の土用に鰻を食べれば暑気に当らないとされ、鰻を食べる人が多い。鰻は夏も旨いが、冬期は最上。

土用蜆 ( どようしじみ )  晩夏

夏の土用中の蜆を土用蜆といい食する。夏は体が弱まると共に口当りを求める。蜆の味噌汁はさっぱりして旨い。滋養になる。肝臓の良薬。土用蜆は大和蜆のこと。

梅酒 ( うめしゅ )  晩夏

梅酒 ( ばいしゅ )   梅酒 ( うめさけ )   梅焼酎 ( うめしょうちゅう )

「梅酒」は青梅を用い、ホワイトリカー・氷砂糖を用い作る。壺や広口のガラス瓶に入れ、密封して置く。風味よく暑気払いとして用いる。

干瓢乾 ( かんぴょうほ ) す 晩夏

七・八月頃、夕顔を細長く剝き、これを乾燥して干瓢を作る。一ヶ月で干し上らないと ( かび ) がはえやすい。栃木県名産。

鴫焼 ( しぎやき )  三夏

本来は野鳥の鴫を焼いた料理。見立料理で鴫肉のかわりに鴨肉を用いる。丸茄子を用い横二つに切り、くり抜き、野鳥の挽肉を詰めて焼く。又は茄子に胡麻油を塗り焼いて赤の田楽味噌を塗り仕上げる。上りに 芥子 ( けし ) の実を散す。「茄子の鴫焼」。

茄子漬 ( なすづけ )  三夏

茄子の漬物としては「浅漬」・「糠味噌漬」・「粕漬」・「味噌漬」・「芥子漬」などと多い。食欲のない時など最適。長茄子など珍しい。仙台名物。

天草取 ( てんぐさとり )  三夏

ところてん ( くさ )   天草取 ( てんぐさとる )   心太草取 ( ところてんぐさと ) る  天草干 ( てんぐさほ )

天草は立夏の頃から八月末頃の間に採る。寒天・心太を製する原料で、海中の岩石に生じる紅藻類で、普通舟を用いるか、海女さんが海中に潜って採取する。採取した天草は、浜辺に広げて干す。

新節 ( しんぶし )  三夏

年内に作った「鰹節」をいう。江戸初期(一六七四年)に漁師甚太郎が製造する。製法は「土佐節」・「伊豆節」・「薩摩節」などに分れる。

白玉 ( しらたま )  三夏

氷白玉 ( こおりしらたま )

糯米 ( もちごめ ) を寒に晒して作るのが白玉。口当りが良い、白玉を水でこね耳たぶぐらいの柔かさにし、一口の大きさに丸めて茹でる。料理では吸物の椀種に、冷菓では砂糖やシロップ、小豆餡をのせて食べる。夏のデザートとして楽しむ。

土用餅 ( どようもち )  晩夏

古くは土用に餅をついて食べる習慣がある。暑気あたりせぬようにとの願い。餅は食文化の中心に添えられている。

( ひや ) 西瓜 ( すいか )  晩夏

たらいに井戸水を汲み、西瓜を冷すのは夏の風物詩である。今日では冷蔵庫。

冷し 紅茶 ( こうちゃ )  三夏

アイスティー

紅茶を冷して、氷を浮べたりして飲む。

( ひや ) しコーヒー 三夏

アイスコーヒー コールコーヒー

夏の最中、一杯の冷たいコーヒーは喉をうるおすのに最適である。関西ではコールコーヒーという。

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