時候
四月 晩春
晩春
桜・桃・杏・梨の花など百花の如く「乱れ咲き」のころである。「地上楽園」とはこのこと。
弥生
花見月 桜月 嘉月 竹秋 竹 の 秋
陰暦三月の異称。一切の草木が生え 萌 えでるころ。
春 の 日 三春
春日 春日 春の朝日 春の夕日
春の太陽を指すのと 「春の一日」をいうのがある。
日永 三春
永日 永 き 日
冬の後を受け 春の昼が長くなることを感じる。これを「永き日」と呼ぶ。本来なら 夏至前後 である。
麗 か 三春
麗日
春の日の光なごやかに、遠くの方はうち霞み、 春光煕々 として、うるわしく見える様。
長閑 三春
空晴れわたり、日はなごやか、悠々として 閑 かなる春景色をいう。
春暁 三春
春 の 暁 春 の 曙 春曙
春の明け方をいう。「春の朝」という感じ。
春昼 三春
春の昼間。のんびりと眠たくなるような気持。
春 の 暮 三春
春 の 夕 春夕
春の日暮をいう。
春 の 宵 三春
春宵 宵 の 春
春の日が暮れて、まだ間もない「宵」のこと。
春の夜 三春
春の宵が 更 けると 春の夜である。
八十八夜 晩春
立春から数えて八十八日目に当る 五月二日頃 農家は忙しい。茶摘み真盛り、八十八夜別れ霜といい、以後霜が降らないとされている。
春深 し 晩春
春闌 春更 く 春闌 く
樹木の花は散り、すべて葉勝ちに変る。春の盛りも過ぎた頃。
夏近 し 晩春
夏隣
春が終りをつけ、夏に入ろうとする頃、五月の始めごろ。
行春 晩春
春 の 名残 春 の 別 れ 春行 く
まさに行く去る春のこと。
暮 の 春 晩春
春季の終りをいう。
春惜 しむ 晩春
惜春
過ぎ行く春を「おしむ」。
天文
春 の 空 三春
春空
雲のない 碧 い空。白い色が少しだけ含む空。
春の月 三春
春月
「春の日は 朧 」を 愛 でる。「秋は 清爽 」なるを愛でる。
朧月 三春
淡月 月朧
朧に霞んだ春の月。
花曇 晩春
桜の咲く頃。空は幾分重苦しい感じ、どんよりと曇りがちなのをいう。
春光 三春
春色 春 の 色 春 の 光 春景 色 春望
柔らかく暖かい、昼の陽光をいう。草木の育成の力強く 眩 い春の風光。
風光 る 三春
春になって日の光がやわらかく吹きわたるさま。何となく風までが光るように感じる。
春風 三春
春 の 風 春風
春の日に吹く風をいう。
別 れ 霜
春に降る最後の霜をいう。「八十八夜の別れ霜」などの言葉がある。
地理
春 の 海 三春
長閑 で、波静か、海原の景色をいう。
春潮 三春
春の 潮
春になると潮の色が変わって、美しさを増す。干潮に 較 べ、満潮は豊富な潮長閑な感じがする。春は日中の干潮が、秋は夜中の干潮が大きい。
苗代 晩春
苗田 代田 親田
稲の苗を作る田。稲の 種籾 を蒔いて稲の苗床のこと。
生活
入学 晩春
入学式 新入生 入学 児
小学校から大学まで四月入学式が行われる。
新しい門出に大きな胸をふくらませる。
東踊 晩春
東京新橋演舞場にて新橋芸妓が演ずる踊り。
春は四月、秋は十一月に二十五日間演ずる。
浪花踊 晩春
大阪の新町と北の新地の春の踊り。新町は四月、北の新地は五月に開く。
京都の踊り 晩春
祇園甲部・宮川町・先斗町・上七軸・祇園東の五ヶ所で春・秋行なわれている。
都をどり 晩春
京都花見小路の歌舞練場で、明治五年より行っている。春四月に一ヶ月間都をどり、秋には十月温習会が行なわれる。舞踊は井上流。
京おどり 晩春
鴨川の東側、四条通から五条通までの花街。
宮川町歌舞練場、で四月京おどり。秋十月みずえの会が行なわれる。舞踊は若柳流。
祇園をどり 晩春
祇園東は祇園甲部の北側に位置している。
祇園会館で秋は祇園をどりが行なわれる。
舞踊は藤間流。
北野をどり 晩春
室町時代に北野天満宮再建に七軒の茶店を建て参拝客の休憩所としたのが、上七軒の始まりと言われている。上七軒歌舞練場で、春三~四月に北野をどり・秋に寿会が行なわれる。舞踊は花柳流。
花見 晩春
観桜 桜狩 花 の 幕 花 の 宴 花の踊 花衣 花の 袖 花の 袂 花 人 桜 人
花見といえば桜のこと。奈良時代は梅が主役であった。桜の命は十日余りと短い。桜の下で酒宴は格別で、行楽へと足を運ぶ。
花篝 晩春
花雪洞
桜花の下で焚く篝火のことで、夜桜の風趣を添える。京都円山公園の花篝は有名である。
観潮 晩春
鳴門海峡は潮の干潮によって平常でも渦を巻いている。四月の大潮になると、潮の大渦ができて壮観。渦も見事であるが、鯛と若布は超一級品で、生若布も良いが浜に干された若布も格別である。
磯遊 晩春
磯祭
潮が干いた磯辺に出て遊ぶもの春の行楽で、潮干狩、磯菜摘などする。浜での食事を楽しむ。
汐干狩 晩春
汐干 汐干貝 汐干岩 汐干籠 汐干船
旧暦三月頃の大潮が最も盛んである。干潟に下り立って蛤・浅利など拾う。実益と行楽をかねた遊び。
花御堂 晩春
灌仏 仏生会
四月八日釈迦の誕生日。関西では一ヶ月遅れの五月八日に行うところもある。小さな御堂を作り屋根には椿・桜など多数の花が美しく 葺 かれ、御堂の前に 浴佛盆 が置かれ、真中に右手を上げた半裸形の釈迦の像を立置し、小さな杓を添えて、甘茶が盤に 湛 えられている。
御堂は本堂入口、山門に設けられる。
甘茶 晩春
ユキノシタ科に属する 落葉灌木 でアジサイに似ている。日本では近江の伊吹山・美濃国に多産。葉を乾燥して煎じたのが甘茶。古来仏誕会の釈迦立像にそそぐ。
凧 三春
絵 だこ 字 だこ 奴凧 人形 だこ うなりだこ 紙鳶 (たこ) 六角 だこ いかのぼり
正月の風物詩であるが、本来「たこ」は春風に揚げるもの。「長崎の 凧揚 げ」は昔から有名で、四月十日に凧合戦がある。大きさ畳半分が普通。大小いろいろ。関東はたこ、関西はいか。
風車 三春
色紙や色のついたセルロイドを花の形に丸めたものを、竹の先に取り付ける。春風を受け、くるくる廻る。かわいいもの。
風船 三春
ゴム 風船 紙風船
薄いゴムにヘリウムガスを入れて膨らまし糸をつけて、空中に飛ばす玩具。
五色の紙を貼り合わせた紙風船。空気で膨らませ、子供が遊ぶ。春の景物。
遠足 三春
春は暖かく日が永い。遠く郊外に出て、野山を一日行楽することをいう。
春眠 三春
「 春眠不覚暁 」などの如く、春の陽気に誘われ、うとうと、心地のよさは格別である。
種俵 三春
種籾 を入れておく俵のこと いよいよ春の準備に入る。
種選 仲春~
種 選 る。
籾種 は塩水に入れて浮かせ、不良のものを除く、豆類は盆にのせ 選 り分ける。
種浸 し 晩春
種俵 種浸 し 種井 種池 種桶
種選びしたものを、俵や 叺 に入れ・池・沼・井戸に浸けて発芽をうながす。籾は二週間ほど浸す。
種蒔 晩春
種 おろし すじ 蒔 籾蒔 く 物種蒔 く
籾を 苗代 に蒔くこと。「籾蒔く」ともいう。彼岸から八十八夜の頃にかけ「種蒔き」をする。
蒟蒻植 う 晩春
四月末~五月に、畑に穴を掘って、植える。
蓮植 う 晩春
四~五月泥田の中へ蓮根の小さい一節植える。
芋 植 う 晩春
三~四月頃植える。里芋・八ツ頭・馬鈴薯・さつま芋など。馬鈴薯は、切り口に灰を塗って植える。
茶摘 晩春
一番茶 二番茶 三 ・ 四番茶 茶摘時 茶摘女 茶摘籠 茶園 茶 畠 茶山
四~五月一番茶 六~七月二番茶 八月三番茶、秋に四番茶を摘む。一番茶の走りのものを「新茶」と称し風味を珍重される。五月に摘んだ茶は緑茶として品質が最も良く、特に八十八夜に摘んだ茶は「不老不死の妙薬」と言い伝えがある。
製茶 晩春
茶つくり 茶 揉 み 焙炉場 焙炉師 茶の 葉選
摘んで来た茶葉は蒸して 揉 み、 焙炉 にかけて焙り茶に製する。茶葉はその日の内に仕上げなければならない。製茶は次に茶の葉選りをする。
鯛網 晩春
八十八夜前後は鯛の旬。瀬戸内海では盛んに漁獲される。漁船が網をせばめて来ると跳ねるさまは壮観である。姿の美しさは天下一品。
桑摘 晩春
桑摘女 桑摘唄 桑籠 桑車 桑売 夜桑摘 む
毛 蚕 (卵からかえったばかりの蚕)に与えるのは桑の 嫩葉 で、蚕の成長に合わせて葉も大きくなる。
桑摘みは夜電気をつけ、雨の 日合羽 を着て摘む。
畦塗 晩春
田を打ち終った後、畦から水が 洩 れないように畦を土に塗り固める。
緑摘 む 晩春
松の勢力を過度に使わせぬため、新しい芽を摘取ることをいう。
動物
鳥交 る 三春
鳥つるむ 雀 交 る 鳥つがう 鳥の 妻恋
鳥の発情のこと。鳥は年一回春に発情する。囀や尾を広げたり、舞踏など「求愛行動」は鳥により様々。
孕鹿 三春
春の鹿
鹿は秋に交尾し、四月~六月に仔を産む。春に「仔鹿」が見られる。
蜂 三春
蜜蜂 熊蜂 穴蜂 足長蜂 女王蜂
蜂の種類は日本産だけで千種と多い。蜂の社会は「女王蜂」を中心に「雄蜂」、「働蜂」の群をなしている。
蚕 晩春
蚕 桑子 春蚕
絹糸を取るために蚕を飼う。かいこといえば「 春蚕 」のこと。農家にとっては大切な副業であった。お 蚕 さま。
植物
山桜 晩春
大山桜 大島桜 江戸彼岸 吉野桜
関東以西の山に自生、花は一重 若葉と共に花開く。色・香・容姿共に高尚優雅。散りぎわが殊に美しい。奈良の「吉野」、東京の「小金井」は名所。
遅桜 晩春
花期の過ぎた後に遅れて咲く桜をいう。八重桜は遅れて咲くが、八重とは限らない。一般的に「遅咲き」の桜をさす。晩春の季題。
若草 晩春
嫩草 初草 若草野 草若 し
萌え出た春の若々しい草をいう。
柳 晩春
糸柳 ( 枝垂柳 ) 青柳 川柳 若柳 柳 の風
春の「新芽」が堤や街路に茂り、風になびかせた「風情」は実に美しい。枝を折って土の中、根付く。料理長のまな板は柳に限る。
母子草 晩春
ははこ 御形蓬 おぎょう
春の七草の一つ「おぎょう」の名で知られ、自生は野原など至る所で見られる。昔は晩春に草を摘み餅や団子に入れたが今は 蓬 に代る。
藤 晩春
藤 の 花 山藤 白藤 藤浪 藤棚
日本固有種。晩春から初夏、紫の花房は垂れて咲く。四弁の花は蝶形、房は三〇~九〇cm。神社仏閣の境内の藤の蔓は「右巻き」。山藤は「左巻き」。ここにドキュメントを貼り付けます
行事食
草餅 晩春
草 の 餅 蓬餅 母子餅
「草餅」は古く平安時代は母子草(春の七草。 御形 )で作り、室町時代より 蓬 を用いるようになる。蓬の新芽を摘み、重曹を加えた湯で茹で冷し、細かく刃内ちする香り良い。餅を搗き蓬を入れ搗混ぜする野趣に富んだ餅に 黄粉 ・砂糖をかけ食す。
わらび 餅 三春
わらびの地下茎から取った澱粉で作る。奈良県の名産である。水を加え練り上げる。缶にながし冷し適量に切り黄粉・黒蜜をかけ食す。
冷して盛夏の菓子にも良い。江戸時代宿場の茶屋で供す。東海道の日坂(静岡県掛川市)の宿の名産。澱粉を取ったわらびで縄を編む。茶人好み。留石・露地 箒 に用いる。
桜餅 三春
桜の葉で包んだ餅で、色は桜色と白色の二色。関東(長命寺)・関西(道明寺)の二種。関東は江戸時代の門番、山本新木が白玉粉・小麦粉の溶いた生地を焼いて餡を包む。関西は道明寺粉(もち米をむして乾燥させ粗挽きにしたもの)をむし餡を包んだもの。それを共に桜の葉の塩漬けで包む。
鶯餅 三春
春に出る餅菓子。手のひらで薄くのばした 求肥 で餡を包み、二つ折にし両端をとがらせた菓子。青の黄粉をまぶす。形・色ともうぐいすに似せたもの。
餅とは、求肥のことで、白玉粉・砂糖・水あめで作る。
椿餅 三春
餅菓子の一つ。起源は古く平安時代より「源氏物語」に「つばいもち」として載っている。
白色で、むした道明寺 糒 で、中に餡を包んだ餅、二枚の葉で挟んだ菓子。 上新 粉 で作るのもあるが「道明寺」の方が上位。
桜漬 三春
花漬 桜湯
八重桜の花を塩漬にしたもの。茶碗に入れて熱い湯を注ぐと花弁がほぐれ、花が開いたようになる。香気が立つ。それを「桜湯」といって飲料する。結納・結婚・祝いごとなどに明治時代初めごろより出すようになる。
壺焼 三春
栄 螺の 壺焼 焼栄螺
壺焼といえば栄螺として有名。冬から春にかけて美味。江の島、二見ヶ浦が有名である。
焚火に直接入れて焼く「壺焼」は野趣味があって美味、食べるのに「こつ」がある。 褌 (苦い)に気を付ければよい。
花菜漬 晩春
蕾の菜の花を摘んで、 糠 味噌に浅漬けにしたもの、茶漬けの友によい。
鮒膾 三春
山吹膾 叩 き 膾 子守膾
鮒の旬は冬季。「琵琶湖の源五郎」は春季に多く捕れる。味も良い。芽出たい折には子がらみ( 子守 膾)を供す。叩き膾は鮒を三枚に卸し上身となし叩いて酢で合せ、大根卸しを添える。山吹き膾は山吹の花の上に盛る花の名称、山葵酢・辛子酢味噌などで食す。
鮒の産地は関西では琵琶湖、関東では利根川、霞が浦である。
数の子作 る 晩春
新 数の子 数の子 干 す
鰊 の産卵は春。漁獲しに鰊から卵巣をとり、塩水に漬けて、卵巣を固める製法が主流。昔は天日干しにしてから、かますに入れ出荷したもの。この製品は今は見当たらない。
桜蝦 三春
駿河湾で獲れる。五㎝程の深海性の小さなえびで透明な桜色。春に浅瀬に移動を二艘一組で網を引く。山葵醤油で生食・かき揚げ・釜揚げも美味。干しえびでも流通。
州蛤 三春
州崎(大阪市住吉)は昔の蛤の名産地。埋め立てられ住吉公園となる。ほとんど獲れない。
胡葱膾 三春
細く青々した胡葱は茹がいて酢味噌で和える。蛤・赤貝・浅利など添えると胡葱がさえる。→青葱膾・ 糸葱 ・ 千本分葱 。
山葵漬 晩春~
静岡県名産。四、五月頃の新しい山葵の葉や茎を刻んだ、酒粕に漬けたもの。この香味に一滴の醤油を落すと味が増す。酒の魚・飯の菜に好まれる。一七〇〇年代静岡県天域山の清流を利用して栽培される。江戸時代以降より山葵の三大県は、静岡県・長野県・島根県。
山椒 の 皮 晩春~
「山椒」の皮をむいて醤油で煮て用いる。香気が強く辛皮漬とする。鞍馬の名産。山椒の葉は木の芽和え・木の芽味噌・吸物・焼物・煮物などに利用。「山椒」は日本二大香りの一つ。
五加飯 晩春
五加は人家の垣根など植えてある。茎にとげがあり、嫩葉は摘んで食用となる。茹がいて飯に炊きこんだのが「五加飯」。あぶって茶の代用に用いる。
田楽 晩春
木 の 芽 田楽 田楽豆腐 田楽 焼 田楽 刺
粋な料理の一つで田楽は「焼き方の技」が最も要求される料理。木綿豆腐を水切り、田楽串にさし焼いて、「木の芽味噌」を塗り焼く、専用の器に盛って供したもの。
※「田楽」は「田楽法師」が舞う姿に似ているのでこの名がある。田楽よりお 田 が生れたとの説あり。→おでん
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