時候
三月 仲春
南の国から春の便り、寒さからの解放、木の芽ふくらみに小さな喜びを感じる。北陸・東北地方ではまだ雪が深いところがある。
如月 仲春
梅見月 初花月 雪解月 着更衣
陰暦二月の異称。寒さが残っていて さらに着物を重ねるという意味で「着更衣」の名称。
啓蟄 仲春
驚蟄
二十四節気の一つ 三月六日頃に当る。土中に冬眠していた、アリ、カエル、ヘビなどが起き、地上に出る頃にあたる。
春めく 仲春
春動く
山川草木物、すべてがいきいきとして 春らしくなること。
春彼岸 仲春
春分・秋分の日を中日といい その前後三日間即ち七日間の季節を「彼岸」と呼ぶ 彼岸といえば春の彼岸のこと 秋は「秋の彼岸」、又は「後の彼岸」という。美男美女は寺院に参詣 墓参りをする。
「暑さ、寒さも彼岸まで」、というように好季節である。
暖 か 三春
春暖
春の陽気の温暖になって、寒くも、暑くもなく、心地よい気候。
天文
春 の 雪 三春
春雪 春吹雪 淡雪
春に降る雪。溶けやすい、積ってはすぐ消えてしまう。淡雪。
初雷 仲春
立春の後初めて鳴る雷のこと 啓蟄 の候によく鳴る。
春雷 三春
春の鳴る雷。夏の雷はものすごい。
東風 三春
強東風 朝東風 夕東風
春に東方から吹く風をいう。わが国では春は東北風、夏は東南風 秋は西南風 冬は西北風が吹く。春風より小寒い。
菅原道真の歌「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」。
雪 の 果 て 仲春
名残 の 雪 雪 の 別 れ 雪 の 名残 忘 れ 雪 終雪 涅槃雪
旧暦二月十五日涅槃会(釈迦入減)の時になって雪が降る。この頃の雪を「雪の果」という。
春の終りの雪。終雪。
春雨 三春
春 の 雨 春雨傘
春季に降る細くしっとりした雨。雨滴が草木の芽を、花の 蕾 をほころばせる。長雨なら 春霖 。
霞 三春
春霞 薄霞 遠霞 朝霞 昼霞 夕霞 晩霞 霞立 つ
春になると水蒸気が多くたちこめる。山峡、山の中腹・平地・海岸にたなびく。
春は「霞」、秋は「霧」といい区別している。
陽炎 三春
糸遊 遊糸
春、うち晴れた日に、湿原・低地・屋根から、ゆらゆら水蒸気が上るさま。
地理
春 の 山 三春
春山 春嶺 弥生山
草木は芽を吹き、花は咲き、鳥が鳴く。生気は 溢 れた山をいう。陰暦三月を弥生という。
山笑 う 三春
春の山をいう。樹々 嫩芽 を吹かんとする早春の頃の山の形容。
水温 む 仲春
温 む 水 温む池 温む沼
春の温暖なる気候は 何とはなしに温まってきたように感じがするもの。
春 の 水 三春
春水 水 の 春
春の河川 湖沼などに満々と 湛 えたさま。
春の川 三春
春雨や雪解け水で春の川は水かさを増すさま。
流氷 仲春
春暖、解氷して水面を流れるさま。
春 の 野 三春
春野 春効
春の野原をいう。二月から四月までの間。若菜摘み、蝶が舞うころの変化が多い。
生活
桃 の 節句 仲春
上巳 上巳 重三 桃花 の節 弥生の節句 雛 の 節句 三月節句
江戸幕府五節句の一つ。三月三日。女の節句。
雛祭 仲春
ひいな遊び ひいな ひな飾り 雛 の 日 雛 の 夜 宵節句 初雛 雛 の 宿 雛 の 宴 雛 の 客 雛飾 る 雛 の 調度 雛道具 雛壇 雛屏風 雛 の 灯 雛 の 膳 雛 の 酒 雛菓子 雛 あられ 紙雛 立雛 内裏雛 御所雛 親王雛 土雛 ※雛に関する季語多い
三月三日・女の子の成長を祝う行事で 江戸幕府の正式行事「五節句」の一つ。
古くは「 形代 」で体をなでて、 穢 れなどを「形代」に移し体を清めた後で、川に流した「雛流し」。
「雛祭り」をするようになったのは、室町時代といわれている。「雛祭り」のことを「雛遊び」・「雛飾り」・「雛事」という。江戸時代初期の頃は飾りも少なく、江戸中期、後期と数が多くなる。
今日のような美しさを調えたのは江戸時代末期から。始めは二段、三段 さらに幕府の頃は五段、七段となる。調度品は 平安貴族の遊び道具のもの。武家社会の嫁入道具の調度品を模造し、優雅である。
内裏雛も紙製、粘土製とさまざまである。
曲水 仲春
曲水 の 宴 曲水 曲水 の 豊明 盃流 し 流觴 巳字盞
三月三日の節句に行う。中国から伝わる。奈良朝あたりから行われた貴族の遊び。庭園の曲折した水流に盃を浮べ、詩を作り、酒を口にし、風流な宴。
伊勢参 三春
伊勢の両大神宮に詣でること。伊勢参詣は時候の良い春に多く 春の遊山気分で全国各地からお詣りが多く、各地に「伊勢講」なるものがあり、月々に参宮の費用を積立て、その中の代表を毎年選んで参宮した。
上 り 簗 三春
春の川魚は川下から川上にさかのぼり、秋の川魚は川上から川下へ下るもの。春の川魚の性質を利用して捕る仕掛けを「上り 簗 」という。仕掛は木や竹など並べて、魚の通る道を作り、そこに「 簗簀 」を設けて魚をとる。
鮎汲 仲春
鮎の幼魚は海で育ち 春になると川を 遡 って行く。小鮎は瀬を上ろうと飛び上るところを網ですくい取る。
春日祭 仲春
奈良春日神社の大祭をいう。今は三月十三日祭礼日。藤原氏の氏神。伊勢神宮・賀茂神社についで、最も盛大な祭礼で王朝時代をさながら見る思い。まことに美しい。
御水取 仲春
奈良東大寺二月堂の行の一つ。毎年三月十三日に行なわれる。実に壮観そのもの。春の訪れを感じる。
涅槃 仲春
三月十五日(陰暦二月十五日)釋迦の臨終の日。日本は仏教国、釋迦の涅槃の行事は全国津々浦々まで行きわたっている。
耕 三春
春耕 耕人 耕馬 耕牛 馬耕
春になると、田や畑の土を掘り返し軟らかくすることで、馬・牛の手助を受ける。「耕人」は人の手で行う。
田打 三春
春田打 田 を 返 す 田 を 鋤 く 田掻 田掻馬 田掻牛
春になって稲の株を牛か馬で鋤をつかって打返すことをいう。田を 鋤 く。田植の準備。
畑打 三春
畑打 つ 畑返 す 畑鋤 く
畑に種を撒く頃、春彼岸から八十八夜の以前に畑を返すことをいう。「 畑鋤 く」ともいう。
種物 仲春
物種 花種 種売 種袋 種物屋
種は紙袋に入れ吊るし、乾燥させて大切に保存する。この袋を「種袋」といい、種を統括して種物という。
苗床 仲春
温床 冷床 苗障子
植物の苗を立てるための仮床で、野菜・草花・樹木の苗を育てる。仮床には二種類あり、「冷床」は日当たり、風通しのよい露地に直接しつらえる苗床であり、温床は特別に保温する温室を設けたものである。
花種蒔 く 仲春
秋草の花の種を蒔く 花壇・前栽・土鉢に。
夕顔蒔 く 仲春
彼岸の頃に蒔く。食用(干瓢)、観賞用、 炭斗 など製作。
夏 野菜 種蒔 き 仲春
夏野菜代表は胡瓜・茄子などで春に種蒔きし、
初夏五月に定植する。他に隠元豆・オクラ・二十日大根など秋収穫する。枝豆・ 玉蜀黍
落花生など。
芋植 える 仲春
里芋、八ツ頭、唐の芋は三~四月に植える。
昨年収穫した子芋を種芋として植える。
菊根分 仲春
三~四月頃分植する。
萩根分 仲春
萩の芽が出る頃、三~四月根分けして分植する。
菖蒲根分 仲春
芽の適当に出る四月菖蒲を、池などに植える。
野遊 び 仲春
山いさみ 山遊 ぶ 野 かけ 春遊 び
春の日をあびながら、野に出て遊ぶ。ピクニック
摘草 三春
草摘 む
万葉の昔から野に出て草を摘むのは春の楽しみ 蓬 ・土筆・嫁菜・芹。川岸などにはクレソンが生えている。昔は食べるため 今は行楽の一つ。
嫁菜摘 む 仲春
「嫁菜」はやさしく美しいところから名付けられた。一名野菊。田の畦や堤などに見られる。若芽を食用、摘んで、茹でて、浸し、和え物、油いため。根は塩茹でし、飯に焚込む、嫁菜飯。春の焚込みご飯を楽しむ。
磯開 仲春
磯 の 口開 浜 の 口開 海下 若布 の 口開 天草 の 口開 口開祭
磯の口止(海藻や貝類など採取を禁ずる期間)が過ぎ、「磯開」が来る。各地のより日は異なるが 祭りの如く、大がかりな飲食をして祝う。
動物
雲雀 三春
初雲雀 揚雲雀 落雲雀 舞雲雀 雲雀笛 夕雲雀 雲雀野
冬の間は藪の中に、春暖になると高い囀りと共に空高く舞い上がる。代表的な「春の鳥」。
燕 仲春
乙鳥 つばくら 燕来る 燕渡る
春の彼岸頃来て、人家の軒に巣を作り子育て、秋の彼岸頃南方に帰る。身近な鳥。
引鶴 仲春
鶴帰 る 残 る 鶴 帰 る 鶴
十月頃来て、翌年二月頃とび帰る。その帰りを「引鶴」という。越冬地は鹿児島出水が有名。国の特別天然記念物。アナヅル・ネベヅル他。
鳥帰 る 仲春
小鳥帰 る 引鳥 帰 る 鳥 鳥引 く 鳥雲
渡り鳥が越冬し、「春に帰る」ことを「鳥帰る」。引鳥という。雁・ 鴨 ・ 山雀 ・ 四十雀 他。
囀 三春
囀 る 鳥囀 る
春から夏にかけて小鳥達の繁殖と関連する現象。
引鴨 仲春
鴨帰 る 帰 る 鴨 行く 鴨
春、暖かくなると「鴨」は再び繁殖地の寒地に帰って行くことをいう。「鴨」の種類多い。
植物
初桜 仲春
初花
「桜」の咲き始めをいう。早咲きの「桜」は主に一重。
彼岸桜 仲春
枝垂桜 糸桜 紅枝垂
「春の彼岸」のころに咲く桜の一種。木も花も小形で小枝はなめらかで艶がある。西日本に多い。
蒲公英 三春
たんぽ 鼓草 藤菜
「春の野草」。葉の中央から茎が延び、多弁の黄色い花。西日本には白い花もある。根は薬用。葉は浸し、ヨーロッパではサラダに。
春蘭 仲春
ほくり ほくろ
山林に自生。木の芽の芽ふく三月末頃、淡青黄色の蕾、やがて五弁の花が開く。清らかな香りを料理に添える塩漬けとなし「 汲 み出し」はお茶人好み。
一人静 仲春
吉野静 眉掃草
「静御前」の面影の名称とか。山林の日陰に咲く。二〇㎝位の草、四枚の対生の葉のまん中に一本の花軸に小花の穂を出す。
木蓮 仲春
紫木蓮 白木蓮 更紗木蓮
まだ葉も出ない三月頃の枝に紅紫色の花を付けるのは「 紫木蓮 」。白い花は「 白木蓮 」。外側は紫色で内側は白色の花は「 更紗木蓮 」。三種とも豪華な中に静寂を感じる。
行事食
白酒 仲春
雛祭に用いる。 糯米 をむし、麹と焼酎、清酒を加えてかき混ぜ、十日後に味淋を加え、ひき臼で挽いてつくった飲物。邪気を祓う桃の花弁を添える。
菱餅 仲春
雛壇に供える餅。上段紅色(桃の花)、中段(雪)、下段(新芽)は自然の情景を表わしている。菱形は心臓とか、女性を表わす。
田螺和 え 仲春
田螺は野趣味豊かな食材で 浅葱 の 沼田 和え、山椒味噌和えにする。田螺は洗って青ササラを入れて茹でると淡い緑色になる。季節感を増す。田螺の味噌汁もオツなもの。
木 の 芽和 三春
木の芽は日本二大香料の一つ。他は柚子。筍の「木の芽和」は春の代表的な料理。
青饅 三春
「青ぬた」とは青の 蔬菜 (野菜)、 浅葱 、芥子菜を茹で、魚や貝殻などと和えた酢味噌和えのこと。農作業の沼田を表したという説もあり。「 沼田 和え」とも書く。
菜飯 三春
江戸時代後期の本に 江州 (滋賀県)目川の宿の名物とある。飯の炊込ご飯の料理は実に多い 「菜」とは春の季語。蕪・大根の葉・小松菜・京菜・野草では「嫁菜」も面白い。
目刺 三春
「目刺」には、「 固乾 」(関西好み)と「 生乾 」(関東好み)がある。主に「目刺・ 頬 刺し・丸干し」の三種で「目刺」しは主に片口鰯。「頬刺し」(口を通す)は主に真鰯。「丸干し」は主に潤目鰯が多い。塩は立塩法(十%の塩水に漬ける)と塩当てがある。 藁 か竹に刺す。
春に目刺を作るのは、真鰯二月から四月脂肪が最も少なく、風干に適している故である。
生産は千葉・茨木・九州鹿児島が多い。
白子干 三春
白子 縮緬雑魚 ちりめん
「白子」とは片口鰯、真鰯、潤目鰯の稚魚で 凡 そ三センチを釜揚げ(塩茹で)にし、天日干しにする。干し方には固乾と生乾があり、関西では固乾を、関東では生乾を好む。
主産地は長崎・山口・愛媛など。
干鱈 三春
乾鱈 棒鱈 芋棒 鱈田夫 打鱈
鱈は魚扁に雪を当てる。この字は国字 中国
語にはない字。雪の降る頃に美味になる。味は淡白 雪の如く白い、「干鱈」は真鱈の干した物。真鱈は北半球の寒帯に分布。日本では東北・北海道が主。産卵のため一、二月浅い所に移る。干鱈は北海道・稚内特産で湿度が低く、風が強いために干鱈製造に最上。
『和漢三才図会』(一七一二年)に「色白きもの上とす。黄を帯るものを次とする」とあり
求めるなら白い方 古くから好まれた保存食、干鱈は棒鱈ともいう。
蜆汁 三春
蜆の種類は三種類。①「琵琶湖の 瀬田 シジミ」の旬は春(2月~4月)で蜆の中で最も美味。②「大和シジミ」の旬は夏から初秋(6月~8月)で汽水域に生息。特に島根県(宍道湖)が有名。別名「土用蜆」土用に好まれる。③「真シジミ」の旬は 冬から初春(12月~2月)で淡水域に生息。河川の上流から中流域。別名「寒蜆」寒中に好まれる。料理は「佃煮」の他に最も馴染みの深いのが「蜆汁」。古くから肝臓病(黄疸)や寝汗に良い。
蒸鰈 仲春
柳蒸鰈 やなぎむし 柳かれい
鰈は下拵えし、ふり塩か立塩に酒汐を落し一、二時間程漬けて陰干しをして、焼いて食す。淡白で上品な酒の肴。又は「鰈」をむして、陰干して、炙って食す。子持は高価。
干鰈 仲春
下拵えをし、塩を当て陰干をする。焼いて醤油を刷毛で塗ると美味が増す。かれいは水分が多く、陰干し四、五時間すると良い。
ぼた餅 仲春
春の彼岸は「ぼた餅」という 越冬した小豆は皮が固いので「こしあん」にする。秋の彼岸は萩の季節なので「おはぎ」という。小豆の皮が軟らかいので「つぶあん」使用。
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