歳時記 冬 十二月

時候

十二月 ( じゅうにがつ )  仲冬

一年の最終の月。寒さもいよいよ厳しくなる月、「師走」、「極月」の称もある。

霜月 ( しもつき )  仲冬

霜降月 ( しもふりづき )   神楽月 ( かぐらつき )   雪見月 ( ゆきみづき )   雪待月 ( ゆきまちづき )   神帰月 ( しんきづき )   仲冬 ( ちゅうとう )

陰暦十一月の異称。霜がきびしくなる頃。

短日 ( たんじつ )  三冬

日短 ( ひみじか )   日短 ( ひみじか ) し  ( ) つまる  暮早 ( くれはや )

冬の日の短いものをいう。冬至が一番短くなる。すぐ日が暮れて慌ただしい。

( ふゆ ) ( )  三冬

冬の一日のことで、何か暗い、わびしい感じ、冬の太陽がそうさせる。

( ふゆ ) ( あさ )  三冬

冬暁 ( ふゆあかつき )   寒暁 ( かんぎょう )

「冬の朝」は寒さ厳しい。夜の明けるのも遅い。「冬の朝」は布団から離れるのがつらい。

( さむ ) さ 三冬

「寒さ」にも肉体的と感覚的な寒さがあり、寒き朝、「寒き夜」は冬で、「朝寒」・「夜寒」は秋である。

( つめ ) たし 三冬

底冷 ( そこびえ )

寒さには感覚的なものと底冷えのようにしんしんと体に冷える、京の冬のようなものがある。

霜夜 ( しもよ )  三冬

よく晴れて、霜の降る、厳しい冬の夜のこと。

( ふゆ ) ( )  三冬

夜半 ( よは ) ( ふゆ )   寒夜 ( かんや )

冬の夜は重厚な感じ、静まりかえりひしひしと迫る寒さはわびしい。

冬至 ( とうじ )  仲冬

冬至粥 ( とうじかゆ )   冬至南瓜 ( とうじかぼちゃ )   一陽来復 ( いちようらいふく )

十二月二十二日頃、二十四節気の一つ。昼間最も短く、夜最も長い、柚子湯を立てて浴すれば無病息災。「冬至南瓜」を食せば中風にかからない。「冬至蒟蒻」を食する所もある。

「冬至粥」は雪平鍋で焚き味わえるのも冬至。

米が粥になる前に「煮え花の印」・米粒に水晶体の帯が出来る。味は焼塩か梅干、体が冷え切ったところに冬至粥は美味。

師走 ( しわす )  仲冬

春待月 ( はるまちづき )   極月 ( ごくげつ )   季冬 ( きとう )   晩冬 ( ばんとう )

陰暦十二月のこと。年の終の月、陽暦十二月にも用いられている。

( とし ) ( くれ )  仲冬

歳暮 ( せいぼ )   歳末 ( さいまつ )   歳晩 ( さいばん )   年末 ( ねんまつ )   ( とし ) ( )   ( とし ) ( はて )  年の ( おわり )   年尽 ( としつ ) くる

年の終頃のこと。

節季 ( せっき )

金銭取引上の総決算をする季節。年末を「大節季」といい、盆の十五日を盆節季といって金銭取引の総勘定をする。

( とし ) ( うち )  仲冬

この年をあと幾日もない頃をいう。

行年 ( いくとし )  仲冬

年送る  ( ) ( とし )  いぬる年

年の暮、年を送るという心のこもった名称。

大年 ( おおどし )  仲冬

「大晦日」のことを「大年」という。

大晦日 ( おおみそか )  仲冬

最終の日、三十日「つごもり」、三十一日「大つごもり」という。

( とし ) ( よる )  仲冬

十二月三十一日の夜のこと。

除夜 ( じょや )  仲冬

( とし ) ( )

大晦日の夜のこと。夜半十二時から各寺院が打出す「除夜の鐘」と共に、旧い年を送り新しい年を迎える。

天文

冬日 ( ふゆび )  三冬

( ふゆ ) ( )   冬日向 ( ふゆひなた )   冬日影 ( ふゆひかげ )

「冬の太陽」を言う。寒いうす暗い時期につつむような温かい日射しはありがたい。

北風 ( きたかぜ )  三冬

寒風 ( かんぷう )   ( ふゆ ) ( ふう )  北吹く 朔風 ( さくふう )

「北風」は身を切られるように寒い。冬の季節風。

空風 ( からかぜ )  三冬

からっ ( かぜ )

乾燥しきった寒い風。砂塵を伴い吹きまくる。表日本に多い。江戸名物。

虎落笛 ( もがりぶえ )  三冬

冬の烈しい嵐が柵・竹垣などに吹き当って笛のような音を発する、のをいう。

冬凪 ( ふゆなぎ )  三冬

寒凪 ( かんなぎ )

冬の海、風もなく、波もなく、おだやかで、凪ぎわたる日、をいう。

( しも )  三冬

( しも ) ( はな )   大霜 ( おおしも )   強霜 ( つよしも )   深霜 ( ふかしも )   霜晴 ( しもばれ )   朝霜 ( あさしも )   今朝 ( けさ ) ( しも )   霜日和 ( しもびより )

晴わたった寒い夜、一夜明けると地上は真白の「霜」である。「霜」も冬の風物。

( ふゆ ) ( あめ )  三冬

冬の雨は細く音もない。小暗く、小寒く、侘しい。

( みぞれ )  三冬

雪まじりの雨のこと。

冬の月 三冬

冬の月は、さむざむとしているが、輝いている月は美しい。小雪降る中の月も又よいもの。

( ふゆ ) ( くも )  三冬

寒雲 ( かんくも )   凍雲 ( いでくも )

冬の空には雲が多い。灰色に垂れこめている。「凍雲」は寒い空に滞って動かぬ雲を言う。

冬霞 ( ふゆかすみ )  三冬

寒霞 ( かんかすみ )

冬に立つ霞。風もなく暖かい冬の日。霞が柵引くことがある。「寒霞」は寒中に立つ霞。

( ふゆ ) ( そら )  三冬

寒天 ( かんてん )   寒空 ( さむぞら )

「冬の空」は灰色の雲が垂れ込め、どことなく重苦しい。裏日本は冬期間灰色の空模様。

初雪 ( はつゆき )  仲冬

その冬はじめて降る雪。北海道は十月の末頃、東京は十二月末頃、各地さまざま。

地理

山眠 ( やまねむ ) る 三冬

眠る山

冬の山の形客。春は山笑う、秋は山粧う、と同様に擬人的な言い方。

冬野 ( ふゆの )  三冬

( ふゆ ) ( )   ( ふゆ ) ( はら )

冬の野原をいう。

枯野 ( かれの )  三冬

草の枯れ果てた野、をいう。

冬の ( うみ )  三冬

「冬の海」は荒れた白浜が立ち、海は暗く荒原たる感じがする。

霜柱 ( しもばしら )  三冬

厳寒に地上の水分が凍結して氷柱となって群立する。朝の美観であるが土を押し上げるので庭は荒れる。

霧氷 ( むひょう )  仲冬

霧が流れて木の枝に氷結して水晶の ( はな ) を付けたようになる。これを霧氷という。雲仙獄の霧氷は壮観で十一月から十二月頃見ごろ。

雨氷 ( うひょう )  仲冬

雨の雫が樹枝等に凍って下る。

( ふゆ ) ( みず )  三冬

「冬の水」は澄んでいて重いもの。茶道で建水より杓でくむと実感する。

水涸 ( みずか ) る 三冬

川涸るる  沼涸 ( ぬまか ) る  滝涸 ( たきか ) るる

冬期に起こる。川・沼・滝など水が著しく減って涸れてしまうことをいう。

冬の川 三冬

冬川 ( ふゆかわ )   冬川原 ( ふゆかわら )

冬は川の水量が減り、生色を失い、寂しいさまが冬の川である。

生活

顔見世 ( かおみせ )  仲冬

歌舞伎顔見世 ( かぶきかおみせ )   面見世 ( つらみせ )   足揃 ( あしぞろえ )   芝居 ( しばい ) 正月 ( しょうがつ )  顔見世 正月 ( しょうがつ )

「顔見世」といえば京都南座十二月興行は有名。江戸時代役者との契約は一年(十一月から九月)で十月には更改する慣行。十一月の興行は新規の顔ぶれで行う、最初の興行であり、これを「顔見世」などと称した。大変なにぎわい、「芝居の正月」などの言葉が生れた。

現京都南座の十二月興行は豪華で勘亭流の書体の「まねき」が掲げられる。明治時代より始まる。

息白 ( いきしろ ) し 三冬

とくに朝夕など大気の寒冷にあうと、吐く息が白く見えるのをいう。人間ばかりでなく、牛や馬、犬までも息白である。

臘八会 ( ろうはちえ )  仲冬

十二月八日、釈迦が雪山で苦行の末悟をひらいたという。禅寺では 法会 ( ほうえ ) を行う、十二月一日より八日まで接心が受けられる。

干菜湯 ( ほしなゆ )  三冬

干菜風呂 ( ほしなぶろ )

「干菜」を入れて沸した風呂。体がよく温まる。老人や冷え性の人のために、たてる。

事始 ( ことはじめ )  仲冬

十二月十三日、上方ではこの日から正月の準備にかかる。花柳界では弟子が師匠の家々鏡餅を贈って祝うしきたり、「歳暮の挨拶」もこの日から始める。

神楽 ( かぐら )  仲冬

神遊 ( かみあそ ) び 神遊 ( かみあそ ) ( うた )   内待所 ( ないじどころ ) 御神楽 ( みかぐら )

毎年十二月十五日、宮中 賢所 ( かしこどころ ) 大前に於いて行われる「神楽」をいう。「神楽」は日本の上古より連綿と伝わる歌舞で、起源は 天鈿女命 ( あめのうずめのみこと ) の舞で 天照大神 ( あまてらすおおみのかみ ) を岩戸の中から引き戻そうと舞ったもの。

里神楽 ( さとかぐら )  仲冬

宮中以外の諸神社で行われる神楽を「里神楽」という。仮面をかぶり笛や大皷で囃し、無言で演ずる。

熊突 ( くまつき )  三冬

冬眠中の熊を入り口まで誘い出し、槍で突き殺す狩猟法。今は銃を用いる。

熊祭 ( くままつり )  三冬

熊送り  ( にえ ) ( くま )   花箭 ( はなや )  カムイマンデ

アイヌの年中行事。最も盛大な祭事。熊の子を生どりして二~三年飼育したものを祭の ( にえ ) とする。

( かり )  三冬

狩猟 ( しゅりょう )   遊猟 ( ゆうりょう )   勢子 ( せこ )   猟人 ( りょうじん )   猟犬 ( りょうけん )   狩座 ( かりざ )   狩場 ( かりば )   ( かり ) 宿 ( やど )

鳥獣 ( ちょうじゅう ) を狩猟すること。古くは弓・槍・ ( わな ) ( あみ ) 鷹狩り。現在は銃猟を意味する。十一月一日より三月十五日まで。北海道は十月一日より二月十五日まで。

猟人 ( かりうど )  三冬

狩猟をする人。

( かり ) 宿 ( やど )  三冬

猟師を泊める宿のこと。

薬喰 ( くすりぐい )  三冬

鹿売 ( ろくうり )

「鹿の肉」は冬期以外不味である。寒中に食べれば血行をよくし、健康を増す、これを薬喰いという。主に鹿・猪を指す。

山鯨 ( やまくじら )  三冬

( しし ) ( にく )

「猪肉」をいう。薬食の一種。冷え性の人が食べる。

狐罠 ( きつねわな )  三冬

「狐」が出て畑の作物・鶏小屋を襲うために罠をかける。

狸罠 ( たぬきわな )  三冬

冬になると「狸罠」をかける。「箱罠」、「樽罠」など、皮は防寒用、毛は筆に利用。肉は臭い強く、不味と聞く。

兎狩 ( うさぎかり )  三冬

田畑の作物を荒すため、要所に網をしかけ大勢で追いこんで生け捕にする。

捕鯨 ( ほげい )  三冬

鯨突 ( くじらつき )   勇魚取 ( いさなとり )   捕鯨船 ( ほげいせん )   鯨見 ( くじらみ )

鯨は寒帯性動物。日本近海に出没するのは冬季である。荒れ狂う冬の海にて、 ( もり ) や電気銛を用いて捕獲する。国際的には捕鯨の環境は大変厳しく、鯨の食文化の継続が難しい。

冬籠 ( ふゆごもり )  三冬

寒い地方では冬の備えをした後、家に籠っているのをいう。北国では暗く、侘しい気持。

冬座敷 ( ふゆざしき )  三冬

ひと昔前の冬座敷は、襖や障

子を閉め、火鉢や炬燵を配置し照明も暗く、重いイメージ。今は住いの環境も変り、明るい。

屏風 ( びょうぶ )  三冬

( きん ) 屛風  ( ぎん ) 屛風  ( ) 屛風  ( まくら ) 屛風  ( こし ) 屛風 産所 ( さんじょ ) 屛風 風炉先 ( ふろさき )

二曲・四曲・六曲などいろいろ。高さは普通一・五メートルぐらい。室内に立て風を ( さえぎ ) り寒さを防ぐ又は寝る時枕元に立てる。今は実用より装飾用に用いられる。古くは中国より渡米した家具。

障子 ( しょうじ )  三冬

さうじ  冬障子 ( ふゆしょうじ )

障子は日本特有の冬の建具。防寒の旁ら室内の採光を良くする。清潔感を重んじる日本人は貼りかえて、「青畳」と共に新しい年を迎える室礼である。

( すみ )  三冬

木炭 ( もくたん )   白炭 ( はくたん )   堅炭 ( かたずみ )   軟炭 ( やわらかずみ )  消炭

木炭のことをいう。良質は堅木を素材とした ( なら ) ( くぬぎ ) ( かし ) などである。「木炭」は ( まき ) と異なり、煙を出さない。「堅炭」(白炭)は火持ちが良い。「 軟炭 ( やわらかずみ ) 」(黒炭)火つきが良い。「消炭」は特に火つきが良、炭の需要は、昔は暖房や煮焚用であったが、今日では茶道・調理では一部の焼物用である。焼方さんは朝一番に炭に水をかけ、夕方使用したものです。火力が一段と強くなるため。備長炭和歌山産最上。火力、火持ちが良い。

消炭 ( けしずみ )  三冬

( おき ) を火消壺に入れて置くか、水に取ると消炭が出来る。消炭は火付が早い。マッチ一本で火を ( おこ ) すことが出来る。

埋火 ( うずみび )  三冬

炉や鉢などの灰に埋めた炭火のこと。寝る前に灰に埋め、朝に炭をつぎ足す。

炭斗 ( すみとり )  三冬

炭櫃 ( すみびつ )   炭籠 ( すみかご )   炭瓢 ( すみひさご )

炭を小出しにしておく容器で、木箱に 把手 ( はしゅ ) (取っ手)のついたもの。 ( かご ) 、瓢などいろいろ。

焚火 ( たきび )  三冬

( にわ ) 焚火  ( ) 焚火  ( あさ ) 焚火  ( ゆう ) 焚火 落葉 ( おちば )

冬期、暖をとるため戸外で火を焚くこと。お宮・お寺の庭先で朝焚火、大工、左官など、仕事の前に焚火を囲んで暖をとる。談笑に心が通う。今は環境の変化により(二酸化炭素排出)禁止されている。

( )  三冬

囲炉裏 ( いろり )   炉明 ( ろあか )

「炉」は古くから茶人が用いることをいう。大きさは四二センチ(一尺四寸)四方、 内法 ( うちのり ) は三〇センチ(一尺)、深さ三六センチ(一尺二寸)に作る。今では囲炉裏のことを「炉」という。

囲炉裏 ( いろり )  三冬

炉のこと。昔は家族の中心は「囲炉裏」であった。暖をとり、湯をわかし、煮焚物をし、夜間の採光源にもなる。炉明り。

ストーブ 三冬

暖炉 ( だんろ )   煖炉 ( だんろ )   壁炉 ( へきろ )

暖房器具の一つ。昔は薪・石炭・コークスを使用する。時と共に石油・ガス・電気ストーブに変る。ストーブと突き出た煙突は、昔のなごり。

スチーム 三冬

暖房 ( だんぼう )   煖房 ( だんぼう )   暖房車 ( だんぼうしゃ )

蒸気による暖房装置。ビルデング、汽船、汽車などに備えられている。

ペーチカ 三冬

置ペチカ

北欧・シベリア・中国東北部で用いられる。暖房装置で一種の壁炉で一度に二~三室を暖める。

炬燵 ( こたつ )  三冬

( きり ) 炬燵  ( おき ) 炬燵 炬燵蒲団 ( ふとん )

寒い地方では「切炬燵」が、暖かい地方では「置炬燵」が主。その上に蒲団をかぶせる。以前の火力は炭・ 練炭 ( れんたん ) が主で、今は電気となる。「大和炬燵」は土製に和紙を貼る。

助炭 ( じょたん )  三冬

箱形の木枠に和紙を何枚も厚く張り合わせ、渋柿を塗ったもの。火気を散らさず火持ちをよくさせる。茶室炉におおおいかぶせる用具。

火鉢 ( ひばち )  三冬

暖房の一種で炬燵と並んで最も一般的。火鉢には「長火鉢」・「銅火鉢」・「陶火鉢」・「金火鉢」等いろいろある。木炭又は藁灰等に炭火を入れる。安価な火鉢から一品ものの高級品までさまざまある。

手焙 ( てあぶり )  三冬

小火鉢で手を焙るのに用いる。材質は陶製、金属製などある。持ち歩きの出来るものなどもある。

行火 ( あんか )  三冬

ねこ 電気行火 電気 蒲団 ( ふとん )  電気毛布

炬燵 ( こたつ ) の小さなもので、箱形の土器で、三方に穴がある、一方は火入口。蒲団をかけ、手足を暖めたり、寝床で暖を取るのに用いられる。行火には和紙が貼られてある。

懐炉 ( かいろ )  三冬

懐炉灰 ( かいろばい )   懐炉焼 ( かいろやけ )

冬に ( ふところ ) や背に入れ、身体を温める小さな炉で、金属製の容器に懐炉灰を入れて点火する。ニッケル製の容器に揮発油を滲ませた綿を入れ少量ずつ燃やす。やけどを防ぐためネルなどをかぶせる。

温石 ( おんじゃく )  三冬

手頃ななめらかな石を火で暖めて布に包んで腹に当て暖をとる。昔禅宗での修行僧(雲水)が空腹をしのぶために行った。

湯婆 ( たんぽ )  三冬

ゆたんぽ 懐中 湯婆 ( ゆたんぽ )

容器は陶器製と金属製のものとある。中に熱湯を入れ、布で包み、寝床に入れ、暖をとる。朝にこの湯で顔を洗ったものである。

湯気立 ( ゆげたて )  三冬

冬は空気が非常に乾燥するので、火鉢の上に鉄瓶を置き、さかんに湯気立たせる。咽喉に良い。

湯ざめ 三冬

冬は湯上りに、油断すると急に「湯ざめ」を覚える。風邪を引きこんだりする。

風邪 ( かぜ )  三冬

寒気が厳しく、空気が乾燥すると、風邪の流行になる。「風邪は万病のもと」と恐れられている。用心にこしたことはない。食は ( あつもの ) にかぎる。

綿 ( わた )  三冬

唐綿 ( とうわた )   真綿 ( まわた )

主に布団や衣服に入れて、寒さ防ぐために必要なもの。冬に入れれば身を暖かく、包む。

布団 ( ふとん )  三冬

布団  ( かけ ) 布団  ( しき ) 布団  ( ) 布団  ( きぬ ) 布団

「布団」は四季を通して寝具として用いる。敷くのを「敷布団」、掛けるのを「掛布団」、羽毛を入れたもの「羽布団」という。季語は冬期。「夏布団」は夏の季語として区別している。

毛布 ( もうふ )  三冬

毛布は温かく、感触がこころよい。寝具と敷物に膝掛など重宝である。主は筆先・化織も売られている。

夜着 ( よぎ )  三冬

掻巻 ( かいまき )

「寝具」で袖も ( えり ) もあり、足先まで ( おお ) えるように大きい。綿も厚く入れてある。冬期上にかける夜具。江戸末期から明治にかけ流行。戦前まで使われる。今は見かけない。

褞袍 ( どてら )  三冬

丹前 ( たんぜん )

厚く綿を入れた着物、防寒用。江戸時代初期丹前風呂に通う客の間で流行した品。

綿入 ( わたいれ )  三冬

綿の入った衣服をいう。眞綿の入ったものを普通「 綿子 ( わたこ ) 」という。

紙衣 ( かみこ )  三冬

紙子 ( かみこ )   ( ) 紙子  ( しろ ) 紙子 紙子売 ( かみこうり )

白い丈夫な紙に柿渋を塗り、乾かして作った衣服。元は僧侶の衣服とか。寒気を防ぐため一般のものとして用いる。柿渋を用いないのを「白紙子」という。

( かさ ) ( )  三冬

寒さの為、着物を何枚も重ね着をすること。

着ぶくれ 三冬

冬は寒いので着物を何枚も重ねて着る。ふくれて見える。

冬服 ( ふゆふく )  三冬

冬期着用する洋服をいう。和服の場合は冬着という。

冬帽 ( ふゆぼう )  三冬

冬帽子 ( ふゆぼうし )

冬期に ( かぶ ) る「帽子」をいう。冬期になると帽子を被る人が増える。

綿帽子 ( わたぼうし )  三冬

今は婚礼に新婦が被るものであるが、江戸時代中頃までは、防寒用の帽子として流行する。真綿を布糊で固めて造った。

外套 ( がいとう )  三冬

洋装の上にはおる最も主な防寒具である。オーバー。

日向 ( ひなた ) ほこり 三冬

日向ぼっこ 日向ぼこ

冬の日のあたたかな光につつまれて、体を暖めること。

毛糸編 ( けいとあ ) む 三冬

毛糸 ( だま )

冬になると、女達は炬燵に入って編物をする。二本の編棒を動かし、手袋・上着・襟巻など編む。

飯櫃入 ( おはちいれ )

藁で編んだ蓋付きの円筒状容器。「飯櫃」を入れ飯の冷えるのを防ぐもの。一九五五年(昭和三十年)頃で姿を消す。後に魔法瓶の飯器が現れる。

藁仕事 ( わらしごと )  三冬

叺織 ( かますおり )  縄 ( ) う 藁沓編 ( わらぐつあむ )

農家では、長い冬 ( こもり ) の間藁仕事をする。新藁で俵を編み、草鞋を作り、縄をなったり、藁沓編む、 ( ふご ) (籠のかわりにものを入れるもの)や ( みの ) を作り、副業とする。

楮蒸 ( こうぞむ ) す 三冬

和紙の原料の楮、冬枯の茎を刈取ってむして、皮をはいで、製紙の原料を作る。

紙漉 ( かみすき )  三冬

楮晒 ( こうぞさら ) す 楮もむ  紙干 ( かみほ )

三椏 ( みつまた ) 、楮の皮から紙の粗原料を煮たり、叩いたり、晒したりする。ときれいな水が必要で、山から流れてくる冷たい水を受け、紙を漉くのである。

藺植 ( いう ) え 仲冬

藺草 ( いぐさ ) 」は畳表・花 茣蓙 ( ござ ) の材料で、十二月から一月にかけて、稲の田植方法と同じように植える。

広島・岡山・九州に藺田が多い。

甘蔗刈 ( かんしょがり )  三冬

砂糖黍 ( さとうきび ) のこと。冬に刈って石車で搾って汁を煮詰めて、黒砂糖を製する。

薪能 ( たきぎのう )  仲冬

奈良、春日神社に於て十二月十七・十八日春の若宮の祭の二日目に催される能。

一茶忌 ( いっさき )  仲冬

陰暦十一月十九日小林一茶の忌日。信州出・文政十年(一八二七年)六十五歳で没。

隙間風 ( すきまかぜ )  三冬

壁・戸障子・襖などの隙間から入る寒風をいう。立付けの悪い家では特にひどい。

霜除 ( しもよけ )  初冬(三冬)

霜覆 ( しもおお )

初冬の頃に見られる。庭木や草花類を外気に触れるのを防ぐためのもの。特に松や 棕櫚 ( しゅうろ ) 蘇鉄 ( そてつ ) など亜熱帯性植物の樹皮保護のため、 ( むしろ ) ( こも ) ( わら ) 縄を用い、覆いをされる。牡丹や菊薬などには藁帽子がかぶせられる。霜除けと共に冬のたたずまいの景観が美しい。

敷松葉 ( しきまつば )  初冬

霜を除けたり、苔の保護のため、松の枯葉を庭に敷きつめる。保護するばかりでなく、日本の美意識の高さに心がうばわれる。初冬の喜び。

雪囲 ( ゆきかこい )  三冬

雪垣 ( ゆきがき )   雪除 ( ゆきよけ )

東北・北陸地方の雪深いところでは、雪害を防ぐため植木、家の廻りに、杭を打ち、丸太を組んで ( むしろ ) などをかけたり、植木を囲ったり、風除けも兼ねている。又鉄道の沿線に柵囲いを設けるのも「雪囲い」である。

雪吊 ( ゆきつり )  仲冬

雪が積ると庭木の枝がその重みで折れるのを防ぐため、幹に添えて支柱を立て、縄をハ方に張りわたし枝の先に一本ずつ吊る。新しい吊縄がちょうど傘のように見える。美しい風情、石川県金沢の兼大公園が有名。

火事 ( かじ )  三冬

火災 ( かさい )  火事 ( )   ( やま ) 火事 小火 ( ぼや )   飛火 ( とびひ )  火の ( )   鎮火 ( ちんか )

冬は火に親しむと共に、空気が乾燥し、風が強い、日本の家は構造上の関係で特に火事が多い。「火事と喧嘩は江戸の華」などといわれるが、焼跡に立つと無惨のみ。

( ) ( ばん )  三冬

( ) 用心 ( ようじん )   夜廻 ( よまわ ) り  夜番 ( よばん )  火の 番小屋 ( ばんこや )

江戸時代は火事が多く、 夜番 ( よばん ) は常置的なものでした。町内会で金を出し合い、人を雇う。又は会員が交代で夜番。子供達が社会奉仕で「火の用心」と声をかけ合いながら夜廻りをする。

柚湯 ( ゆずゆ )  仲冬

柚子湯 ( ゆずゆ )   冬至風呂 ( とうじぶろ )   柚風呂 ( ゆずぶろ )

冬至の日に、柚子を風呂に入れ、入浴する習慣がある。体をあたため、風邪を防ぐ効能がある。柚風呂。

クリスマス 仲冬

降誕祭 ( こうたんさい )   聖夜 ( せいや )  クリスマスイブ  聖歌 ( せいか )   聖樹 ( せいじゅ )  クリスマスケーキ

十二月二十五日、キリストが誕生した祝日。正しい誕生日は不明。その前夜を「クリスマスイブ」という。協会では儀式がありツリーが飾られる。クリスマスカードや品物の贈答、ケーキ・サンタクロースの伝説など、一年を通じて最大の祭日。

暦売 ( こよみうり )  仲冬

年末になると来年度の新しい暦が出来る。今日では取引先などが持って来る。又は本屋で買い求めたりする。昔は街頭にて暦を売るのが風物詩。暦売は死語になりつつである。

古暦 ( ふるこよみ )  仲冬

新しい暦が配られると、これまでの暦は古暦となる。年末までは用がある。

日記買 ( にっきか ) う 仲冬

年末に来年度の日記が売出される。いろいろな日記があり、想い想いに一冊を買い求める。

ボーナス 仲冬

年末に支給される、賞与金。開くまで楽しいものだが、今は銀行振込み。

年用意 ( としようい )  仲冬

新年を迎えるための用意。古いものを整理し、 ( すす ) 払、畳替、障子貼、台所用品、お節料理、餅つきなど仕事がいっぱいある。一月七日までの準備。

春支度 ( はるしたく )  仲冬

年用意とは意味が異なる。新春の支度、例えば春着を縫う。新春買出の準備・襖・屛風、障子の張替え、新春を迎えるための準備をいう。

春着縫う 仲冬

新年の晴着を縫うこと。母親は娘・息子に年末、時間おしんで縫い上げる。この時が幸せのひと時なのであろう。

年木樵 ( としきこり )  仲冬

新しい年に使う薪を年内に伐って用意することだが、「薪」も「木樵」も死語となる。山荘や別荘の一部では薪ストーブ健在である。「 木樵 ( きこり ) 」とは山の中で木を切り出す仕事をする人。

歯朶刈 ( しだかり )  仲冬

「歯朶」は「裏白」ともいう。正月の飾にする。年末に刈り取ることをいう。

注連作 ( しめなわつくり )  仲冬

自前の場合注連作りの前に家長は風呂に入って身体を清めた後に、注連作りをする。注連にはいろいろ種類があり、青い色は、稲の穂の出ない内に刈り取り、乾かして置き使用する。昔は東京では江東区葛飾あたり、大阪では西淀川が盛んである。

煤払 ( すすはらい )  仲冬

煤掃 ( すすはき )   ( とし ) の煤 煤 ( たけ )  煤竹 ( うり )  煤 ( おさめ )

新しい年を迎えるため、部屋の煤払いをする。江戸時代は十二月十三日行われた。経って祝儀酒をふるまう。「煤払い」も死語になる。

( とし ) ( いち )  仲冬

十二月十三日事始めから大晦日まで、社寺の境内に市が立つ。正月用品の品々、神棚、注連飾、巾松、橙、裏白、ゆずり葉、昆布、台所用品など売る市。

羽子板市 ( はごいたいち )  仲冬

羽子板を売る市が立つ。東京では浅草観音・日本橋・人形町など。京都では新京極が名高い。

門松立 ( かどまつた ) つ 仲冬

門松の ( いとなみ )   注連飾 ( しめなわかざ )

門松は年末二十七・八日頃に立てるもの。今は十五日頃から立てはじめる。本来門松の作り手は造園師が作ったと聞いてる。

注連飾 ( しめなわかざ ) る 仲冬

門松が立つと、門には注連が張られる。家の中の部屋に輪飾を掛ける。

煤湯 ( すすゆ )  仲冬

煤払いを終って、煤の汚れを流す風呂。

畳替 ( たたみかえ )  仲冬

年末に畳の表替えをするものである。昔は路地や道路脇で職人さんが畳をさしている姿を見掛たもの。

冬休 ( ふゆやす ) み 仲冬

大方の小中高の学校は十二月二十五日頃から松の内七日頃まで休み。短いが楽しみいっぱい。

歳暮 ( せいぼ )  仲冬

歳暮 ( せいぼ )  歳暮 ( れい )

年末には先輩、知人、親戚を訪ね、お世話になった方々に恩を謝する意味で物品の贈答をすること。

札納 ( ふだおさめ )  仲冬

年末諸社寺より新しい札を受ける。古い札を寺社にお納め、納め札は浄火をかける。

御用納 ( ごようおさめ )  仲冬

諸官庁、学校などでは十二月二十八日残務を整理し、片付け掃除をして半日で仕事を終え、挨拶してご用じまい、御用納めとなる。一月三日まで休み。

年忘 ( としわすれ )  仲冬

忘年会  別歳 ( べつさい )

一年間の労苦を忘れ、祝宴を催することをいう。

糯米洗 ( もちごめあら ) う 仲冬

正月用の「糯米」を洗う。一日水に浸して置く。ここまでの準備、大世帯ではひと仕事。

餅搗 ( もちつき )  仲冬

年末どこの家でも、正月用の「餅」を搗いた。家族のイベント、糯米をむす係、搗く人、えい取をする人、つき上った餅を受ける人、きめ箱に 熨斗 ( のす ) 人と分業する、人手も係る。新しい年を迎えるために。専門に餅屋さんが江戸時代の末に ( あらわ ) れる。 ( うす ) ( きね ) ・釜・ 蒸籠 ( せいろう ) を持って市中に出かける。

( もち )  仲冬

正月用の餅を大別すること、「鏡餅」(大・小)

「熨斗餅」(関東)、「丸餅」(関西)に多い。「 霰餅 ( あられもち ) 」、「胡麻餅」、「大豆餅」、「小豆餅」等々ある。

餅配 ( もちくばり )  仲冬

搗き立ての餅を知人、友人宅に柔らかい餅に黄粉などかけて配る。

掛乞 ( かけごい )  仲冬

附け 掛取  書出 ( かきだ )

商取引の「掛売」は毎月末決済か年二回盆暮の二回決済が決りである。長いのは年一回というのもある。代金を集める人を「掛乞」という。集金も大晦日の夜半で打切となる。今は銀行振込み、「掛乞」も死語である。

掃納 ( はきおさめ )  仲冬

大晦日に今年「最後の掃除」をすることをいう。

年越 ( としこし )  仲冬

大晦日から元旦にわたる時間をいう。

年取 ( としとる )  仲冬

新しい年を迎えること、又は一家揃って「 屠蘇 ( とそ ) 」を頂く、を持って「年取る」という。

今日では誕生日を迎える日をいう。

年籠 ( としこもり )  仲冬

大晦日の夜から元旦にかけて神社や寺院に「参籠」するのをいう。新しい年を起きて守ろうとしたことから始められたもの。昔は夕方から参籠し鶏鳴を聞いて帰ることが多かった。

除夜 ( じょや ) ( かね )  仲冬

大晦日の夜十二時より各寺院で鳴らす、百八つの「 煩悩 ( ぼんのう ) 」を消すためといわれる。鐘を突き終るのに約一時間を要する。

鰤網 ( ぶりあみ )  三冬

漁師は十一月から二月頃まで日本海特に石川、富山県がさかんで、「鰤網」には「刺網」、「建網」、「敷網」、「曳網」などがあり、網の長さも大きいもので四キロメートルと長い。大漁の時には数千尾も入るという。

味噌搗 ( みそつ )  三冬

味噌作 ( みそつく ) る  味噌玉 ( みそだま )

昔はどこの家でも冬季の間家族総出て味噌仕込をする。大豆を大鍋で煮て臼で搗いで、塩と麹を加え混ぜ合せ、大きな桶に入れ三年寝かせる。味噌の種類は「豆味噌」、「米味噌」、「麦味噌」に大別され、仕込み方も異なる。「八丁味噌」は独特で大豆と塩だけで造るのが特色。「三州味噌」ともいう。

牡蠣 ( かき ) むき 三冬

寒い中、浜の女達は小刀を持って「牡蠣むき」をする。生鮮を尊び、客の目の前で ( ) き、そのままビニールに入れて渡す。牡蠣の剝身はそのまま置くと痩せて味が落ちるのも早い。早く料理をしてもらいたい食材。

動物

熊穴に入る 仲冬

穴熊 ( あなぐま )

熊は雪が深くなる頃、山中の天然の洞穴に入る。十二月上旬から春彼岸の頃まで。冬眠中一切飲食を断つ。この間熊の子が生まれる。

( ふゆ ) ( とり )  三冬

家禽 ( かきん )

「冬期」の鳥の総称。山野、海、湖、河で冬生活している鳥という意味。寒中の鳥から特別な感じをえる。

水鳥 ( みずどり )  三冬

浮寝鳥 ( うきねとり )

鴨 白鳥  ( がん )   ( かいつぶり )   鴛鴦 ( おしどり )   家鴨 ( あひる ) など水に「浮ぶ鳥」の総称。秋に渡って来て春に帰るものが多い。海、湖、川で餌をあさり、水の上で冬を過す。水中に浮び ( くちばし ) を翼に刺し休む。

鴛鴦 ( おしどり )  三冬

鴛鴦 ( おし ) ( ちぎり )   鴛鴦 ( おし ) ( ふすま )   鴛鴦 ( おし ) ( くつ )   匹鳥 ( おしどり )

「華麗」な「水禽」。温暖の時は深山に棲み 樹の洞に巣を作って 蕃殖 ( ばんしょく ) (繁殖)する。寒くなると池沼に下り越冬する。常に雌雄が離れず並んで泳ぐ。おとなしく、仲が良い。

( うさぎ )  三冬

野兎 ( のうさぎ )   兎狩 ( うさぎがり )   兎網 ( うさぎあみ )   黒兎 ( くろうさぎ )

北海道の蝦夷ウサギは大型、本州の野ウサギは小型。兎捕へて食用、毛は毛筆、毛皮用に用いる。琉球の黒ウサギは特別天然記念物。

植物

枯木 ( かれき )  三冬

裸木 ( はだかぎ )   枯枝 ( かれえだ )   枯木立 ( かれこたち )   枯木道 ( かれきみち )   枯木宿 ( かれきやど )

冬になり葉が落ち、枯れたように見える木をいう。

冬木 ( ふゆき )  三冬

冬木立 ( ふゆこだち )   寒木 ( かんぼく )   寒林 ( かんりん )   冬木道 ( ふゆきみち )   冬木宿 ( ふゆきやど )

冬木とは冬らしい姿 冬らしい営みをしている木をいう。そんな中で「寒木」は寒さ。「冬木立」は冬木の群立。「寒林」は寒々とした森や林。

霜枯 ( しもがれ )  三冬

草木が「霜」に逢って枯れること。「 一霜 ( ひとしも ) 」ごとに枯れて行くさまは哀れである。霜枯。

枯草 ( かれくさ )  三冬

草枯 ( くさか ) れる  草枯 ( くさかれ )

冬になり寒気や霜のため、一面に草の枯れたさまを「草枯」という。

枯菊 ( かれきく )  三冬

ありし日の ( おもかげ ) はなく、日ごとの霜に枯れ果てた菊。刈り捨てんと思いつつ、移ろいゆく姿に心が ( ) かれる。

行事食

大根焚 ( だいこんた ) き 仲冬

十二月九日京都市右京区鳴滝了徳寺の行事。親鸞上人八十才の時、この地で他力本願をとかれた折、土地の人が大根の塩煮を供した。故事を記念し毎年行われる。参詣人には油揚げ入れ醤油味。

風呂吹 ( ふろふき )  三冬

風呂吹大根 ( ふろふきだいこん )

冬季の代表的な料理の一つ。

語源は、塗師職人が冬になって漆が乾かず風呂(作業室)に鍋に大根を入れ沸したところ効があった。その副産物を「風呂大根」、又息を吹きかけて食べる様子が「風呂吹」に似ているところからの名称。

雑炊 ( ぞうすい )  三冬

御慈也 ( おじや )

残った汁に冷飯を入れ煮たものが始まり。関西では「雑炊」といい、関東では「御慈也」という。冬期の温まる好適な料理。

根深汁 ( ねぶかじる )  三冬

江戸時代初期の料理書、『料理物語』(一六四三年)の汁の部に「ねぶか汁」は味噌を濃うして出汁加え、一塩の鯛を入良し、すましにも仕立て候とある。味噌仕立は飯の菜であり、すまし仕立は酒の肴として分けている。根深(長葱)は冬期十一月から二月が美味。

干菜汁 ( ほしなじる )  三冬

干菜は大根や蕪の葉を干したもの。戻して味噌汁にする。昔の貧しい農家の副菜の代名詞にもうつる。 粗野 ( そや ) な独特の味があり捨てがたい。

蕪汁 ( かぶじる )  三冬

蕪を切り刻み味噌汁にする。蕪は煮上がりが早い。 ( こし ) 味噌を入れ調味する。煮干しの出汁と油揚げに和合する。

納豆汁 ( なっとうじる )  三冬

納豆を擂り鉢で擂り、味噌汁でのばし鍋に移しひと焚きすれば出来上がり。椀種葱は五分切りを多めに。根菜類。豆腐、棒麩などがよい。寒い日に温まる汁、飯の菜。

粕汁 ( かすじる )  三冬

塩鮭・塩鰤・塩鰊などに根菜類の大根・牛蒡・人参・里芋・蒟蒻と具は多めが良い。差し昆布をして粕を入れ、仕上げは濃口醤油で味を調える。煮え花に葱をはなす。味噌仕立の粕汁も良い。飯の菜、酒の肴にも合う。

闇汁 ( やみじる )  三冬

冬期、親しい者同志が集まって、電灯を消し持ち寄った食材を鍋に入れ、煮え上った頃に暗中模索してすくい上げて食べ興ずる。このような仲間が欲しいもの、食べ遊び。

のっぺ汁 三冬

とろりとした野菜汁。根菜類に油揚げ、蒟蒻を細く切り、味は塩・醤油で調え小麦粉・片栗粉にてとろみを加え仕上げる。濃餅・能平の字を当てる。

寄なべ 三冬

鍋料理の代表的なもので、魚貝類・肉・野菜など煮ながら食べる。切り身はすべて一口の大きさに切る。昔の寄なべの野菜はすべて下味を付けた。

鍋焼 ( なべやき )  三冬

芹焼 ( せりやき )

古くからある料理、野鳥を焼き、芹を多く用いて醤油で煮るのが「芹焼」という。鍋焼うどんはこれを応用したもの。冬期限定。

明治二年すぎ焼が考案される。

おでん 三冬

おでん屋  関東焚 ( かんとうた )

料理は時代と共に変る。「おでん」は煮込田楽の略で、田楽は本来焼豆腐に味噌を付けたもの、焼くかわりに煮込む。具材を汁たっぷり使って煮込む。江戸時代末期頃さかんに出すが明治にすたれ、大正時代関東大震災で、関西の料理人がたき出しで関東焚き(おでん)を振舞い見直された。地方により作り方異なる。

焼藷 ( やきいも )  三冬

焼芋屋 ( やきいもや )   石焼芋 ( いしやきいも )

大きな鉄鍋に塩を撒いたり石を敷いたりしてむし焼にする。甘藷を丸焼き、切り焼きなどさまざま。冬の風物詩、最も流行したのは明治で「八里半」は 九里 ( くり ) に近い、「十三里」は 九里四里 ( くりより ) うまいを誇称する。

焼藷さんは夏は「氷屋」さん、「金魚屋」に替る。

湯豆腐 ( ゆどうふ )  三冬

豆腐百珍(一七八二年)刊には六つの等級の中で最高の絶品をと称せられている。豆腐料理はなるべく手をかけないのが最上で冬の「湯豆腐」、夏の「冷奴」が好まれる。葛湯に入れる湯やつこの仕立方ある。保温とくずれにくいのが利点ある。

夜鷹蕎麦 ( よたかそば )  三冬

「夜鷹」とは江戸時代茣蓙をかかえ路傍で春を売る遊女のこと。遊女が食べた蕎麦を「夜鷹そば」という。関西では「夜鳴うどん」という。屋台料理。

蕎麦湯 ( そばゆ )  三冬

熱湯に蕎麦粉を溶かし、砂糖を混ぜた冬の飲物。又はそばを茹でた湯も「そば湯」という。

葛湯 ( くずゆ )  三冬

葛粉に砂糖を入れ熱湯を注いでつくった飲料。身体が温まる。食欲のない時、病気をした時などに最適。

熱燗 ( あつかん )  三冬

焼燗 ( やきかん )   燗酒 ( かんざけ )

冬、寒い日に酒の燗を熱くして飲む。銚子を湯にとっぷりと、普通の燗なら五十度前後、熱燗なら七十から八十度と熱い酒・体の冷えている時などは五蔵六腑に沁みわたる。

玉子酒 ( たまござけ )  三冬

卵酒 ( たまござけ )

酒に砂糖を加え火にかけ煮立たせ、ボールに卵を割りかき廻しながら酒を注ぎこむ。アルコールをとばす(火をつける)と飲みやすい。風邪ぎみのおり、寝酒に飲むと効く。

生姜酒 ( しょうがざけ )  三冬

酒器に卸し生姜又は細切りを入れ、熱燗を注ぎ入れるだけ。体が温まり、風邪によい。お寺では 般若湯 ( はんにゃとう ) (酒のこと)に生姜を入れ供す。

狸汁 ( たぬきじる )  三冬

五代将軍綱吉公の頃、僧隆光が殺生禁断の折、狸汁を作るには「茹でて叩いてつみ切って汁にすれば良い」といい、蒟蒻を用いた話がある。大根、牛蒡、人参、里芋など根菜類を油で炒って汁にする、三冬の汁美味である。

鯨汁 ( くじらじる )  三冬

「鯨」には水菜が似合う。葱・根菜類も和合する。汁は醤油仕立、淡口、濃口どちらでも良い。鯨は三陸の女川・紀州・土佐・長門・肥前と広く食文化をはぐくんで来た。

鮟鱇なべ 三冬

鮟鱇汁 ( あんこうじる )

鮟鱇は捨てる所なし、骨以外すべて食べる。七ツ道具トモ(尾)・ヌノ(卵巣)・キモ(肝臓)・水袋(胃袋)・エラ・柳肉(身)・皮で特にキモは世界三大珍味フォアグラより美味。鮟鱇は真板の上で卸すこと出来ず、吊るしてさばく(吊し切り)をする。雪国では雪の上でさばく。鍋の汁は醤油仕立・味噌仕立好み、茨城(水戸)が有名。

塩鮭 ( しおさけ )  三冬

しおじゃけ  塩引鮭 ( しおびき )   新巻 ( あらまき ) 生の鮭の ( えら ) ・腸を抜き、塩をしたもの、江戸時代は大そうな金額と聞く。塩一升は米一升の三・四倍もした。明治に入って塩の大量生産につれ一般の人々にも行きわたる。新巻鮭は歳暮の贈答品用として高価、塩も手返しをして作る。

塩鮭はシロザケが主で、紅さけ、銀ざけ、カラフトマスなどでも作る。

乾鮭 ( からざけ )  三冬

生鮭を裂いて腸を去り、陰干しにしたもの。『飲食事典』(本山 荻舟 ( てきしゅう ) )には平安時代のころ「 ( ) ( わり ) 」といって、寒中に凍乾したもの、「寒塩引」といい、最も上味と書いてある。今日の「トバ」のようなものであろう。

海鼠腸 ( このわた )  三冬

ナマコの腸を塩辛にしたもの。日本三大珍味の一つで三河(愛知県)のこのわた、肥前(長崎県)の唐墨、越前(福井県)のうに。ナマコは寒中に獲りつくったものが優良品。

牡蠣船 ( かきぶね )  三冬

牡蠣の本場広島から大阪へ牡蠣を船で運び商をしていた。やがてその船で料理をするようになる。牡蠣料理専門の屋形船ができる。

牡蠣飯 ( かきめし )  三冬

牡蠣の剝身を混ぜて炊いた飯。冬期の間一度は炊いて食べたい料理。青海苔・針生姜は相性が良い。

河豚ちり 三冬

旬は冬期。日本近海では四十種類。その中で「トラ河豚」が高価。昔から河豚は食いたし命はおしいというが旨い。食べて当ると死ぬので鉄砲の名があり、刺身を「鉄サ」、鍋を「鉄ちり」と呼ぶ。「ちり」とは鍋に入れると身が縮む故に「ちり」の名がある。冬期「河豚ちり」は格別。

河豚 ( ふぐ ) 宿 ( やど )  三冬

河豚を食べさせるところを河豚の宿などと呼ぶ。

三平汁 ( さんぺいじる )  三冬

北海道の郷土料理。三平という料理人が鰊の糠塩漬けを利用してつくった汁。北海道の馬鈴薯と根菜類を入れて作る。食べる時は椀を使用しない。三平汁専用の陶器の器を使用する。

薩摩汁 ( さつまじる )  三冬

薩摩の郷土料理。武士の士気を高める為に薩摩鶏の闘鶏をさせ敗けた鶏をつぶして食べる、味は味噌仕立。鶏の他に薩摩芋・大根・人参など根菜類を多く入れ、とろ火で十分煮込んだ汁。今日では鶏肉の替り豚肉使用。

巻繊汁 ( けんちんじる )  三冬

鎌倉時代、鎌倉五山の一つ建長寺の開山 蘭渓道隆 ( らんけいどうりゅう ) が作ったとある。野菜のくずを集め細く切って作った料理。建長寺汁→建長汁→なまって「けんちん汁」となる。冬期の汁。

塩汁 ( しょつる )  三冬

特殊調味料 魚醤 ( ぎしょう ) は鰯・ハタハタ・アミなどを塩漬にして冷暗所に数年貯蔵した汁で仕立てた料理。食材は日本海の冬の魚、 ( はたはた ) ・鱈を主にし、野菜は長葱・きのこ類・芹・春菊・豆腐・白瀧など使用する。秋田名物料理、三冬で楽しむ鍋料理。又は帆立の貝を用いる。

紅葉鍋 ( もみじなべ )  三冬

紅葉は鹿の隠語。昔の遊びもの「花札」十月の絵に載っている。鹿肉は臭み、クセがない。昔の人は「薬食い」として頂く。

桜鍋 ( さくらなべ )  三冬

桜は馬の隠語、東京の郷土料理。桜なべは馬肉を用いたすき焼き風である。明治に入り、文明開化の頃生れた。

牡丹鍋 ( ぼたんなべ )  三冬

「牡丹」は猪の隠語。猪は冬期間脂が乗って美味。老いた猪は肉が固く不味。味噌・醤油仕立でも良い。肉は薄く切り牡丹の花の如く盛るのが一般的。

葱鮪 ( ねぎま )  三冬

葱と鮪の汁のことで豆腐を加え醤油仕立にする。鮪は本鮪の中とろを用いるとよい。冬期の旬根菜は多めに。

治部煮 三冬

じぶ  加賀煮 ( かがに )

金沢の郷土料理。天盛りに本山葵を添える。前田公の家臣で国崎治部右衛門が考案したので治部煮の名がある。又じぶじぶと煮える音からの連想、小麦粉の替りに片栗粉を用いたりする。冬期美味。

生姜味噌 ( しょうがみそ )  三冬

生姜は秋のものであるが、生姜味噌は体を温めることで季語は三冬。

生姜湯 ( しょうがゆ )  三冬

卸し生姜・砂糖・熱湯を注いだ飲みもの、体が温まり、風邪防止・風邪のとき効きめあり。

蒸鮓 ( むしずし )  三冬

京阪地方の名物料理。散し鮓(煮穴子・椎茸・千瓢・おぼろ・・・)を蒸した上に金紙玉子・ミツ葉など散したすし、冬の間温かい酢も格別。

煮凝 ( にこごうり )  三冬

凝鮒 ( こごりぶな )

煮魚にすると煮汁が固まる。美味なもの。三冬が季語で、夏の場合水晶寄せと名をかえる、三夏の季語。冬の煮こごりでは寒鮒と大豆を煮こんだ料理は古しえのもの。

千枚漬 ( せんまいづけ )  仲冬

京都の名産。丸くて軟らかいかぶらを千枚に切り、塩を当て昆布、味淋で味を調え鷹の爪を入れ漬けたもの。江戸末期御所の料理人考案し、戦後酢漬となる。 壬生菜 ( みぶな ) は青松に見立て。

晦日蕎麦 ( みそかそば )  仲冬

年越蕎麦

大晦日の晩に蕎麦を食べる習慣がある。細く長く生きる意。

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