時候
十月 晩秋
晩秋。秋深くなる月。山は紅・黄色の粧い、秋の実りと共に、夜の月光、空気は冷える。
長月 晩秋
菊月 菊 の 秋 菊咲月 季秋 紅樹
陰暦九月の異称。
秋 の 暮 三秋
秋 の 夕 秋 のゆうべ 秋の 夕暮
秋の日暮をいう。
やや 寒 晩秋
少し寒いと感じる程度→秋寒 寒さの感じ方にはいろいろ。「うそ寒」、「肌寒」、「そそろ寒」など。
朝寒 晩秋
人の息が白く見える程度。朝だけ「寒さ」を感じる。
夜寒 晩秋
夜だけ寒さを感じる。指先が冷える程度。
身 に入 む 三秋
秋も深まり、「寒さが身にしむ」を覚えること。
秋深 し 晩秋
深秋
秋たけなわの頃、秋が深まり、冬移らんとするころ。
行秋 晩秋
秋暮 れ 秋 の 別 秋 の 名残 残 る 秋
秋が過ぎ去ろうとするのをいう。惜しむ心。
暮 の秋 晩秋
秋の末をいう。
霜降 晩秋
陽暦十月二十三日頃、露が冷気になって「霜」となり、降りはじめるころ、二十四節気の一つ。
秋寂 び 晩秋
晩秋の風物を、深秋の風物を、「わびしい」と思いつつ眺めた時の感じ。
晩秋
暮秋 暮 の 秋
秋季の終りのころをいう。
秋惜 む 晩秋
仲秋と同じ、秋のすぎさまを「惜しむ」こと。
天文
秋 の 日 三秋
秋 の 朝日 秋 の 夕日 秋 の 入日 秋 の 日影
「秋の一日」をいう。晴日に使われる。
秋晴 三秋
「秋日和 」と同じ。秋晴の空。
秋髙 し 三秋
天髙 し 空髙 し
秋は空が澄み、雲もなく、空が高く感じる。晩秋最もこれにふさわしい。
秋 の 空 三秋
秋空 秋 の 大空 秋天
長閑な秋の空、「赤とんぼ」が似合う。一年中のうちで、「空が澄んで」一番美しい。
秋 の 雲 三秋
四季の雲には特徴がある。春→浮ぶが如く。
夏→入道雲の如く。いかめしく。秋→すがすがしい。冬→暗く閉じるが如く。
秋風 三秋
秋 の 風 金風 風の 爽 か
「秋は西より吹く」、「春は朝に寒く、秋風は夕に寒し」、晩秋の風はどこかものさびしい。
秋 の 声 三秋
秋声
全く主観的なもので、「心で感じる」さまをいう。
秋 の 雨 三秋
秋雨 秋霖 秋湿 り 秋黴雨
秋に降る雨。強く降る雨、小雨が静かに降るにしても、冷たく暗いものである。長く降るのを「秋霖」、「秋黴雨」。
後 の 月 晩秋
十三夜 月 の 名残 名残 の 月 二夜 の 月 豆名月 栗名月
陰暦九月十三日の月。供え物は、名月と同じもので団子は十三ケと新大豆・栗など。後の月を愛でるのは我国のみ、昔から、十五夜・十三夜の両日晴れると、明年は豊作と縁起をかつぐ。
秋時雨 晩秋
冬が近づく頃、空は晴れているのに、急に雨が降る、間もなく止み晴れるさま。
露霜 晩秋
水霜
晩秋の露が凍って、霜となろうとする直前の露のこと。
秋 の 霜 晩秋
「霜」は冬に降るのが普通。北国では晩秋に「初霜」を見ることがある。
地理
秋 の 山 三秋
山粧 ふ 秋 の 峰
秋の山、晩秋全山紅・黄葉する。春は山笑う。夏は山滴る。秋は山粧う。冬は山眠る。
秋の野 三秋
野草は初秋に花が咲き、晩秋には実を結ぶ。秋風が吹き渡り、虫が鳴くのが「秋野」。
秋 の 田 晩秋
稲穂が 垂 れ、黄金色に色づいた田をいう。
落 し 水 晩秋
稲刈りを始める前に、水を落して田を乾かすことをいう。
秋 の 川 三秋
秋になると水が澄む。晩秋色づいたもみじが川に落ち流れるさまは、「秋の川」の絵。
刈田 晩秋
稲が刈りとられて、切株ばかりならんだ田。
穭田 晩秋
刈田の株から、新しい茎が生ずるのを穭田という。
生活
案山子 三秋
稲の実の頃に、田圃に人の形をしたものを立て、鳥を威すのが「案山子」。その内鳥もなれて驚かなくなる。
鳴子 三秋
鳴竿 鳴子綱 鳴子引 鳴子番 引板
収穫の折、雀を追いはらう、小形の板に竹管を並べ糸でくくって作る。田圃に竹を立て、これを鳴子にかけ糸を引けば、鳴子が鳴る仕組み。音がなり鳥は四散する。
鳥威 し 三秋
田を守るのが「案山子」。畑を守るのが「鳥威し」の役目である。鳥の 屍 の首、手羽など吊るす。他に軽金属の糸をつける。紙張りの凧型の両端に長い糸をつけ宙吊りとし、風の吹くままゆらぐように仕掛けるなどいろいろ。ききめはのろし。威銃を発砲する。
鹿垣 三秋
鹿が田ばたを荒しに来るのを防ぐため、竹や材で垣を作る。
鹿火屋 三秋
山深い里で小屋を作り、猪、鹿など田畑を荒すのを防ぐため、夜を徹して火を焚き、 銅鑼 を打ち鳴らしたりするのをいう。
豊年 晩秋
出来秋 豊 の 秋
穀類の多くできた秋を「豊年」という。 五穀豊穣 。
毛見
検見 毛見の 衆 毛見の 賂 い 坪刈
昔、役人が稲田の出来、不出来を検査して歩くことをいう。「毛見」の意向によって年貢が定められた。一坪だけ刈って推測するのを「坪刈」という。
下 り 簗 三秋
春は 上 り簗、秋は下り簗。主に鮎を獲る。他には 山女魚 、 鮠 、 鯉 など。
松手入 晩秋
十月頃に松の手入をする。 鋏 を入れ、風通しをよくする。
秋祭 三秋
村 祭 里 祭 在 祭 浦 祭
秋季に行われる神社の祭礼。澄んだ空の下で収穫に感謝し、氏子総出で喜び合う。祭り本来の姿。
重陽 晩秋
重九 重陽の 宴 菊 の 節句 菊の 日 菊水 菊花宴 菊の 宴 菊酒 栗 の節句
五節句の一つ。陰暦九月九日、九は陽数で九が重なることで「重陽」、「重九」となる。「菊花の宴」では菊の香を大切に仕立てる。吸物・ 羹 ・お 平 ・むし物・ 膾 と菊の料理多である。
菊枕 晩秋
野菊の花を摘んで、よく乾かしこれを入れて作った枕。匂いが良く、頭痛によいという。
「菊」は不老長寿をもたらす。
海蠃 廻し 晩秋
べいごま 海蠃打 強海蠃 勝海蠃
童の遊びで明治・大正・昭和と子供達はみんな熱中したもの。今は廃れてしまった。「バイ貝」を半分位から切り、その中に鉛やロウを流し 独楽 を作り、 盥 を据え厚い布を張り、そこで独楽を廻す。今日では鉄製が主流。昔は九月九日、重陽の日の遊びもの。
菊人形 晩秋
菊の形で衣裳を作った人形。明治から大正時代の始めにかけて本郷の団子坂が有名であったが、やがて国技館に移るがすたれる。関西では枚方が有名だが昔ほどでないとか。時と共に名所も変る。秋田の横手、宮城の船岡、東京は新宿御苑などが有名。
砧 仲秋~
碪 砧打 つ 衣打 つ 砧盤 砧槌 昼砧 夕砧 砧拍子
今は見られない。紡績糸が普及したお蔭である。昔の衣服は 麻 ・ 葛 ・ 楮 などの繊維を利用し、むして、さらして、織って衣服を作った時代。固いために叩いて軟らかくして着用する。砧はけやき、台はマツ、スギ、ヒノキの切株、砧打ちは女性の仕事。農家では藁打ちに「砧」を使用する。
初猟 晩秋
猟銃の解禁十一月一日(北海道は十月一日)、この日に出かけるのを「初猟」という。夜明を待って猟をする。
小鳥網 晩秋
小鳥狩 霞網 かすみ ひるてん 囮 媒鳥 囮 番 囮 守
秋に北から渡って来る小鳥を捕えるために設ける「網」をいう。網の下には囮を置いて誘いよせる。「霞網」を張った傍には「鳥座」が設けられ、戦前まではっ盛んに行われた猟法。戦後は禁止されている。
囮 晩秋
小鳥を捕える時の 媒鳥 。囮が鳴いて他の鳥が寄ってくる。
神嘗祭 晩秋
十月十七日、伊勢神宮に於て、天皇から天照大神に新穀で作られた神酒と 神饌 を奉献される御祭儀。祭儀は十月十六日に外宮、十七日に内宮で行われる。戦前は国の祝日と定められていた。
べったら市 晩秋
べったら市 浅漬市
十月十九日の夜、日本橋の大松大松大伝馬町、小伝馬町に立つ、この年の大根を 糀漬 にしたもの。昔は恵比寿講の前夜に、今は浅漬け大根の市だけとなった。
夷講 晩秋
夷子講 夷子祭 えびすこ 夷子 切
十月三十日、商家では商売繁盛を祈って恵比須神を祭る。商いの神、東日本では鮒を供える、関西では正月十日、「十日 戎 」がにぎわう。
薬掘 る 三秋
薬採 る 苦参引 茜掘 る
茜(止血薬・染料)野生の薬草の根を採る、その根を持帰って薬をつくること。
茜掘 る 三秋
山野に出て茜を掘り取る。根は止血薬・染料にもなる。
千振引 く 三秋
当薬ともいう。山に多い草で二十五センチ程。秋に成熟した時に引き、干して置く。千回煎じても苦いというところからの名前。当薬とはよく病気に当る・治る意味。健胃剤、駆虫剤にする。
野老掘 る 三秋
山野に自生、根はヒゲが多く苦い。晩秋に掘り取る。薬用にもするが、新春の飾りとし「長寿」を意味する。
綿取 晩秋
綿の桃 桃吹 く 綿ざね 綿摘 む 綿干 す 綿初穂 綿 買 綿 車 綿 繰 新 真綿 新 綿 にいわた 今年 綿 綿 弓
収穫は九月~十一月まで、球形の「綿」の実がはじけて白い毛状の繊維が現われる。それを摘み取って「綿」を作る。晴天の日に行う。
新綿 晩秋
当秋に収穫した綿をいう。「綿打」の季語は冬である。
秋耕 三秋
「耕」といえば季語は春になる。「秋の収穫後に耕す」ことをいう。
紫雲英 蒔く 晩秋
「れんげ」ともいう。田の肥料として蒔く。春に見事な「げんげ田」となる。その後耕す。
蘆刈 晩秋
蘆は屋根を 葺 くのに用いる。晩秋(十)~初冬(十一)にかけて各地で刈こみを行う。
萱 刈 る 晩秋
萱葺屋根 を葺くのに用いるもの。萱とはススキ、 千茅 、 菅 の総称で「萱」という植物はない。晩秋、成熟して黄色くなった時分に刈りとり、乾かして用いる。
木賊刈 る 晩秋
「木賊」は二尺ぐらいに伸び青々とし美しい。坪庭などに植えてある。秋に黄ばる頃刈る。表面が堅く乾燥させ、木や竹細工などの研磨に使用する「 砥 ぐ 草 」。
萩刈 晩秋
晩秋、根を強めるため、花が終って後に、刈ること。
火祭 晩秋
十月二十二日、京都鞍馬の由岐神社の神事。「鞍馬火祭」。山道に 篝火 と松明の火。
稲刈 晩秋
田刈 陸稲 刈 収穫 秋入 り 稲束 稲舟 稲馬 稲車 稲干 す 刈干 稲小 屋 稲木 稲架
田の水を抜き、秋晴に稲を刈る。鎌の音が爽やかに響く、稲刈りの風景、情景がコンバインによって消された。
稲架 晩秋
稲掛 掛稲
刈った稲をかけて乾すもの。田の中、 畦 を利用して太い杭を組み「稲」を掛ける。
稲扱 晩秋
稲扱きには「せんば」金の歯の澤山並んだのにひっかけて 扱 く方法と、稲扱器を使用する方法がある。一九六五年(昭和四十年)頃までであろうか。後にコンバインが主流となる。
籾 晩秋
刈り取った稲を、せんば・稲扱器で扱いたもので、殻を取らないものを「籾」という。
籾磨 晩秋
籾を玄米にするため、 磨臼 にかけて、籾殻を除いた。脱穀機が普及する以前は大変な労力であった。
新藁 晩秋
今年藁
稲扱をした 稲稈 は、少し青味が残って美しい。いい藁は干し、 袴 を去り、 草履 や 縄 などに利用。
藁塚 晩秋
藁堆
新藁は積んで乾かす。刈田の空地などに積み上げる。円形あり、四角形ありと草塚の形は地方によりいろいろ。
冬支度 晩秋
寒さが増す頃になると漬物を漬け、薪を割り、蒲田の打直し、障子貼り、など冬支度に入る。
障子洗 う 晩秋
障子貼る 障子の 貼替
障子を張り替えるために、川・沼など利用し、障子を浸した後、藁を束ねて洗う。
障子貼 る 晩秋
洗った障子を干し、張り替える。
櫨 ちぎり 晩秋
櫨 の実は 和蠟燭 の原料になる。実は径八~十ミリ、十月下旬頃熟すると光沢のある乳白色になる。実の垂れる姿は風情がある。「櫨の実ちぎり」は農家の収入源。
種採 晩秋
春蒔く草花の種をとる。朝顔、 鶏頭 など、とり袋に入れ、乾燥し、春蒔のために貯えて置く。
紅葉狩 晩秋
紅葉 見 紅葉 酒 紅葉 茶屋 紅葉の 舟 紅葉の 小舟 紅葉の 御舟
紅葉を尋ねること。紅葉の下をゆっくりとした足どりで散策すると心落ち着く。
崩 れ 簗 晩秋
簗の 崩壊 したもの。落鮎がすぎる頃には簗もくたびれ、次第に崩れてゆくさま。下り簗。
葛掘 る 晩秋
「葛粉」(本葛)を取るため葛の根を九月から翌年二月頃まで掘る。葛粉には澱粉が多い。高級和菓子、高級料理に使用する。吉野に産するのが良質。「葛」は捨てるところなし。葉は乾燥して家畜に、 蔓 は盛夏の衣料に用いる。
動物
稲雀 三秋
稲が実り刈り取るまで毎日群をなし、稲田に来ては「 啄 む雀」をいう。案山子、鳴子にオドオドしながら、追われても、やってくる。
渡 り 鳥 晩秋
秋になると「冬鳥」(カモ、ガン、白鳥・他)は北国から我国に飛んで来る。「夏鳥」(ツバメ、カッコウ、オオルリ・他)は繁殖を終え、秋には暖かい南国へ帰る。いずれも群をなして「渡る鳥」をいう。
蜂 の 子 晩秋
古い時代から貴重な蛋白源。クロスズメ蜂などの幼虫。長野・岐阜各県の名産。アフリカ・アジア・南米でも食用。
植物
紅葉 晩秋
黄葉 栬 もみじ 葉 妻恋草 竜田草 色見草 紅葉 の 笠 梢 の 錦
晩秋霜が降りると落葉樹の葉は紅や黄に彩られる。中でも楓は見事な色を呈する。「妻恋草」「竜田草」「色見草」等はむかし使われた別称。
照葉 晩秋
照紅葉
晴天のときの形容。紅葉した草木の葉が美しく輝いているのをいう。
銀杏散 る 晩秋
「銀杏」の葉は厚く重い。空は日毎澄んでいく、落葉がはじまると「短靴」を埋めてしまうのも早い。銀杏化粧も美しい。
落穂 晩秋
落穂拾
稲刈りの後田圃に落ちた「落穂拾い」は子供の仕事。「落穂拾い」は想い出が深い。
吾亦紅 晩秋
バラ科の多年草。高原や山地に多く見かける。「吾赤紅」は細く長く、枝の先に円筒形の桑の実に似た花。吾赤紅は晩秋の趣を深く感じる。
行事食
松茸飯 仲秋~晩秋
「松茸めし」は開きを用いる。開きは香が高い。新米に「松茸飯」とは贅沢と思いきや、昭和初期には一膳飯屋(大衆食堂)などでは眞先に出るとある。多く採れたのであろう。当時椎茸のほうが高価。
新米 晩秋
今年米 早稲 の 飯
今年収穫した米。「新米」と聞くだけでうれしいもの。焚き上ったご飯に感謝し、東の方角に向って手を合せる。焼き塩を振り、一口目は香りを頂き、ねばりと口ざわりを楽しむ。
焼米 晩秋
稲を鎌で刈っていた時分、稲を運んだ後で、子供達が落ち穂拾いをする。それを持帰って 囲炉裏 の周囲に置くとポンとはぜる。はぜたお米は旨い。子供の頃の記憶今も残っている。 籾 のまま炒って焼米を作る。子供のおやつ。
新酒 晩秋
今年酒 早稲酒 利酒 新走
新米で醸造した酒。昔は米の収穫後、醸造したもので「新酒」を秋の季語ととどめて置く。今は冬季に入ってからの「寒造り」が主である。
新豆腐 晩秋
新しい大豆は晩秋⑽から初冬⑾にかけて収穫する。その大豆で作った「豆腐」をいう。
古酒 晩秋
新酒に対して前年に造った酒のことである。新酒が出ない間は古酒という感じは起らない。古酒から「煎り酒」をつくる。古酒に梅干と昆布を入れ火にかける。煎り米を入れても良い。上品な調味料が出来る。昆布〆に掛ける。
濁酒 晩秋
醪酒 どぶろく 神代酒 諸白 中汲 み
清酒に対する名前で、発酵したままの酒、白く濁って味も強く深く酔う。臭みもある。
吊 し 柿 晩秋
干柿 白柿 ころ柿 甘干 串柿
色づいた渋柿の皮を剥いて縄やひもに十個程くくり干す。寒風に当ると色が変る。真白に白粉が吹くものから、茶褐色・黒褐色などさまざま。食べる時に両手で揉むとよい。
菊膾 晩秋
阿房宮でも「蔵王菊」でもよい。菊の香りは高い。花弁をむしる。花芯は苦味が強いので捨てる。酢を入れて茹で、水に落し絞って、三杯酢、淡い甘酢にとるのが「菊膾」である。「もって菊」も同様にするとよい。但し色落ちが早いので早く使うこと。鷹の爪は種を取る。
温 め 酒 晩秋
陰暦九月九日から酒を温める。温め酒を用いれば病無し。虫の声と共に寒さが感じられる。願ってもない。長寿の薬。
牛蒡引 く 三秋
牛蒡 掘 る
牛蒡の根は深い 鍬 で掘り出すことは熟練を要する。これを牛蒡引くという。今は動力を用いて掘り起こすと聞く。
零餘子飯 晩秋
零餘子(長薯や 自然薯 の 葉腋 に出る肉芽)を入れて焚きこんだ飯で、野趣味がある。
新蕎麦 晩秋
この年の秋に収穫した「蕎麦粉」で打った「蕎麦」を「新蕎麦」という。産地は信州・山形・岩手などが有名で、この時期には「新蕎麦」の旗がなびく。
猿酒 三秋
猿が作った酒と伝えられているが、疑わしい話であるが、言葉だけ記憶するのも夢がある。献立の余白に加えるのも楽しい。季語遊び。
栗飯 晩秋
大きいのは「丹波栗」、小さいのは「山栗・柴栗」である。外皮と渋を剥き、新米で焚いた「栗ご飯」は食欲が出る。黒の胡麻塩をかけて頂く。又粋な「栗ご飯」は焼栗にし、外皮と渋皮を取り新米に戻し昆布を差して炊く。こうばしい香りがただよう。
柚味噌 晩秋
柚釜 柚味噌釜
「柚みそ」は元来、柚子の中をえぐり出し、そこに味噌をいこみ火にかけて、なめ味噌とした。祇園の茶店の「関東屋」が作ったのが始めとか。利休も秀吉に作ってもてなしている。又は白味噌に酒・味淋・砂糖・練胡麻・卵黄を加え火にかける。柚子の皮は卸して加える。
田楽・風呂吹き、なめ味噌によい。
柚子は日本二大香料の一つ、他は木の芽(山椒)である。
菊酒 晩秋
菊花 の 酒 菊酒
陰暦九月九日重陽の節句、祝宴の折、盃に花弁を浮べて飲めば「長寿延命」との言い習わし。中国では陽数(奇数)の極みである九が重なることから「重陽」といわれ、特別にめでたい日とされた。この習慣が日本に伝わり、平安時代最も盛んであった。祝宴に供する物。
茸狩 晩秋
茸 とり 茸狩 茸筵 茸籠
「茸」の種類は多い晩秋の山はきのこ採りでにぎわう。目的は松茸、しめじ、なめこ、舞茸など。松茸は赤松の山。籠を肩にかけ探す楽しみが茸狩り。
魚腸 晩秋
わたうるか にがうるか しぶうるか
アユの内臓を用いた塩辛で、味は苦いが風味があり酒の肴としての珍味。岐阜県長良川の名産。地方では酒盗と呼ぶ。
裂膾 三秋
「鰯の膾」のことで小骨が多いために刃物を用いずに指で裂いて調理する。上身に塩を当て酢でしめて膾にする。酢味噌・辛子味噌が良く合う。秋が美味。
鱲子 晩秋
「ボラの卵巣」を塩漬けし乾燥したもので肥前(長崎) 野母 が有名。「からすみ」はその形が唐墨に似ているところから生じた名称。日本の三大珍味の一つ。
焼味噌 晩秋
ご飯の菜・酒の肴にも向く料理で味噌に葱、生姜、胡麻など好みのものを入れ砂糖を加え混ぜ、帆立の貝・杉板・昆布に塗って炙ったもの。
薯蕷汁 晩秋
とろろ 薯汁 むぎとろ
「とろろ汁」は「 自然薯 」・「 大和薯 」(三重県の伊勢薯。兵庫県の丹波やまの薯)、「 銀杏薯 」(関東地方で栽培)のコシの強いイモを用いる。皮をむき擂り鉢で卸し、味噌汁の上澄み、出汁でのばし味を整える。麦飯にかけて召し上がる。麦とろ。
栗 の 子餅 晩秋
「栗の粉」を混ぜて作った餅、「栗の粉」をまぶした餅をいう。
柿羊羹 晩秋
朱色をした美しい羊羹、柿を加えて練ったもの。広島が名高い。
柚餅子 晩秋
柚子の加工菓子。柚子の上部を切り、中の身を取り出し、その中に米粉・味噌・砂糖をねり混ぜて 榧 の実を入れ蒸して、陰干にして薄く切ったもの、好みで生姜、 胡桃 、ピーナツなども入れる。
今風では、求肥に柚子の香りと胡桃などを加え「ゆべし」の名で売られている。
酢造 る 三秋
昔、農家では自家用で「米酢」を作った。新米を醸造する、壺に入れ醸し、布で漉して作った。今はしない。
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