( にしん ) ( にしん )

時候 仲春(3月)~初夏(5月)

地方名称 一般  ニシン

     北海道 カド

     東北  カド

         カドイワシ

ニシン科の海産硬骨魚。亜寒帯域を好む回遊魚。分布は太平洋側では茨城以北、日本海側では新潟以北で北海道、朝鮮東海岸、樺太、アラスカに広がる。本邦では春ニシンは北海道西岸に多産したが1950年に激減し現在に至る。

特徴 体は真鰯に似ているが体高があり側扁し、口が大きく ( うろこ ) は円鱗で落ちやすく、体色背部は淡黒色で青味を帯び腹部は銀白色をしている。

ニシンは孵化後3ヶ月6㎝で回遊のため沖に出る。1年で15㎝、2年で20㎝、3年で25㎝、4年で28㎝、5年で30㎝、10年目にして最大体長35㎝に達する。回遊も日本海側の北海道西岸より出てオホーツク海、太平洋から三陸沖と南下し、Uターンし北上する。早いものは2年で成熟、多くは4年で成熟する。抱卵数は3万から10万粒で年齢に1万をかけた数字が抱卵数。

鰊には春ニシン、夏ニシン、冬ニシンに大別される。春ニシンは3月から5月に漁獲されたもので3月の「はしり」、4月の「中」、5月の「後」に分れる。漁場は石狩湾を中心に漁獲され体は大きく脂肪に富み、4年魚以上で28㎝と大ぶりのものが特徴で特に美味。春ニシンのものを数の子に加工する。

産卵は水温6度になると浅海の海藻類に波が静かで日没から夜明けにかけて生みつける。

夏ニシンは5月から8月に北海道の太平洋沿岸に来遊する。1年から2年魚の未成魚で体長15から20㎝ものが主であり、春ニシンより劣る。

冬ニシンは冬期に於いて北海道太平洋沿岸に時折来遊する。大小不揃いで定まりがなく数量も少ない。

餌は動物性プランクトンや沖アミ。

鰊は水分の多い魚であり鮮度が落ちやすく、選び方は体の色が鮮やかで身は固く、目は赤くないものを選べば良い。旬は3月より5月。

漁法 刺し網 定置網で漁獲される

料理 鮮度の良いものは刺身。塩焼はオスで白子は最上。二杯酢、大根卸しを添える。酢〆となしぬた。鰊の味噌漬け。三杯酢(酒・味淋・醤油) 三平汁は糠漬けを用いる。煮付け マリネ 魚田

加工品 ◎塩蔵漬け ◎糠漬け ◎身欠ニシ ◎三五八(塩3 麹5 ご飯8) ◎丸干 ◎山椒漬け ◎昆布巻き ◎塩蔵数の子

※干し数の子は古くから製造されていたが今日ではない。

昔は大漁が続いた時代機械油を製造する。残りのメ粕は肥料に使用する。菜種・藍・綿花のチッソ肥料。

昔のお話し

北海道では古来よりニシンを、春を告げる魚で「 春告魚 ( にしん ) 」と呼んで待ち兼ねた。又ニシンは東の魚と呼び鰊の字を当て。ニシンは魚に ( あらず ) と呼び ( にしん ) の字を当て下魚扱い。江戸後期1837年刊の百科事典の『 守貞漫稿 ( もりさだまんこう ) 』には「鯡を江戸で食する者は稀でもっぱら猫の餌である。京阪では煮たり昆布巻にする。かつぎ売りの品は昆布巻にする」とある。言海には「ニシンの干物を貧人の食とす」とある。獲れ過ぎた結果多くは加工品、身欠ニシン、干し数の子(今はない)荷造りはカマス(米俵)に入れ発送したもので臭いがたまらない。加工品の他に肥料、灯火用、機会油として活用した。ニシンにとって価値のあるものは数の子でカドの子が訛ってカズノコになるが当時の主流は干し数の子で今日のように脱色をして黄色に色付けし、塩蔵漬にした綺麗な色ではない。この「干し数の子」は数日かけて米のとぎ汁を毎日かえてもどし調理したもの。「干し数の子」は、「今は昔」の食材で手に入らない。

数の子が子孫繁栄の祝儀肴として献立に載るのは16世紀の室町後期の頃である。

時代の変遷でニシンは「貧人の食」「魚に非ず猫の餌」から1世紀余り後の1965年以降、数の子が投資の対象となり黄金のダイヤと呼ばれた。今日では国内産は品薄で輸入にたよる。ロシア、カナダ、アメリカの他に大西洋ニシン(脂肪分の富んだ魚)北欧のノルウェー産のものが多い。

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